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存在のない子供たちのmomoのレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.7
少年の目にたまる涙に胸が痛んだ。

自分が生きてきて得た語彙力ではこの映画の感想を書くことができない。それは同時に自分が同じような経験をせずにこれまで生きてきたことを意味する。彼らの苦痛を想像だけでは言葉で表せられない。自分の理解がどこまでも及ばない。普通の生活が幸せなのだとかそういう次元の話ではない。だけど、自分が持ち合わせてる言葉で、拙いけれど感じたこと述べさせてください。

同じ世界にわたしより小さな子が苦しむ世界がいくつもあり、たくさんの人がそれを経験してる。いっそ、違う世界の話であってほしいと思った。
こんなに辛いことがあるだろうか。だけどこれは、行ったことのない国の名前も知らない誰かの現実なのだ。
責任を持てないなら子供を作るなという悲痛な叫びを聞いて、ほんとにそうだ、そのとおりだと憤りを感じた。彼の『胸が痛いよ』というセリフが頭から離れない。胸が痛い、その言葉を子供が発してしまう世の中って何なんだろうか。
苦しい生活から逃れるために子供を利用する。子供を働かせたり、なるべく裕福な家の人と若くして無理やり結婚させたり。
子供は親を絶対に選べない。親が生むことを決心して生み、それなのに無抵抗に生まれてきてくれた子供に愛情を注がず、自分の利益のために使う。子供を持つってことを無責任に捉えて、苦しい生活を強いるのであれば、ほんとに、今一度人類は子供を持つことの意味をきちんと考えなくてはならない。ただ、この親もまた同じような境遇で育てられてきたのかもしれない。もう、どこから、どうしたら、いいのかわからなかった。でも、学校に行けないゼインが子供を無責任に持つことの愚かさを知っているのだから、そこは同じ境遇でとか言ってられないのかもしれないな。

ラストのシーン、永遠に忘れないだろうな。目に焼きついた。



リアルにちかい作品に評価をつけるという行為がなんだか、おこがましいように感じたけれど、なんというか、、、書き出すことで、、自分の中で値をつけることで何もかも覚えていたくって。
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