存在のない子供たちの作品情報・感想・評価

上映館(20館)

「存在のない子供たち」に投稿された感想・評価

開明獣

開明獣の感想・評価

5.0
私は世界の中でも稀有な安全地帯にいる。夏は冷房、冬は暖房の効いた快適な劇場で映画を観て時を過ごすことが出来る。

極貧の中、自分の子供を売る。まだ成熟していない少女が嫁として売られて行き、無理やり孕まされて、死んでいく。

親たちに心はないのか?と問う。

心?では、心はどこから来るのだろうか?

たまさか観た別の映画にこんなセリフがあった。「悪人はいない。悪い状況があるだけだ」

私は安全地帯にいる。そこから何を言おうとも、空虚な絵空事に過ぎない。あの環境下で自分が、ゼインの親だったら、同じことをしないと言えるだろうか?

私は安全地帯にいる。「ひどいよねえ」「あれでも親かね?」上から目線で、憤っていても、何が彼らをそうさせたのかを考えねば、何も先には進まない。

私は安全地帯にいる。ここに出てくる人達には選択肢がない。即ち、自由がない。溢れかえる自由に溺れてる私たちに、彼らの何が分かるのだろうか?

私は安全地帯にいる。コンドームすら買えない。中絶手術など受けるすべすらない。数少ない楽しみが、愛するパートナーとのセックスだけだとしたら、誰にそれを禁じる資格があるのだろうか?

私は安全地帯にいる。誰かを責めるのはたやすい。だが、そこにあるのは、自己満足な怒りだけなんではないだろうか?

私は安全地帯にいる。劇場の快適な椅子に座って悲劇を観ながら涙を流している自分には、当事者の苦しみや哀しみをどうこう言う資格はない。

私は安全地帯にいる。所詮はどこか遠くの他人の不幸でしかない。私に出来ることなど何もない。たった一つのことを除いては。だから、この作品を観た他の多くの人たちと同じように、私は祈る。私は神など信じない。だから、神に祈るのではない。人々に祈る。どうか、少しでも、こんなことがなくなりますように、と祈る。

この映画の主人公、ゼインは自分の誕生日を知らない。他人の子供を精一杯助けようとする彼の瞳に宿るのは、常に哀しみと怒りだ。

それでも、最後にゼインが見せた表情にすがりたい。甘たったれた理想主義だと言われようとも、希望を最後の最後に拾い上げた彼らの未来に幸多からんことを。

私は安全地帯にいる。

このレビューはネタバレを含みます

母の元に息子が戻った時は心の底から良かったと思えた

最後のゼインの笑顔を愛らしくて素敵だったけど彼と彼の周りの人達がどうなっていくのかの不安が拭いきれない
エイジ

エイジの感想・評価

4.0
あの子の生きる力の源は、弱い子を守るってところから来ているんだろうな。

それが一番の力。

しかし、それにしては幼すぎる😢



これが現実と思わせるリアルさ

貧しければ貧しいほど、楽しみは夜の営みだけになる。貧乏の子沢山、けど代償は大きい。

日本はこれでいいのかって思ってしまう。
momoem

momoemの感想・評価

-
🇱🇧

しんどかった。

それほど、リアルで、真っ直ぐにメッセージが伝わってくる作品だった。

〝僕を産んだ罪〟
〝世話をできないなら産むな〟

12、13歳の少年が、自分を産んだ罪で両親を訴えるお話です。

ドキュメンタリーのような生々しさではないのだけど、限りなくリアルで、つくりものには観えなくて。
でも上映中は、スクリーンに映る現実にいっぱいいっぱいで、そのことを考える隙がなかった。

公式ホームページのキャストのページを観て、深く納得した。

知らないことが多すぎる。そう、ここまでズンと思わせてくださった制作チームのみなさまに敬意をこめて。
くまん

くまんの感想・評価

4.5
9.17
とにかく引き込まれる、その世界に入り込む程に。
ゼインの力強さ、一瞬しかない子供の人生を大人は考えさせられる
Shiho

Shihoの感想・評価

4.3
すごく良かった。予告を見て法廷劇かな?と思っていたら全然違った
子供たちと街の描写がとてもとても素晴らしい映画



恐らく12歳の少年ゼイン君の話


ベイルート(?)の貧しい貧しい街を映し出す前半が特に素晴らしい。
壁の壊れたアパート群、砂利道で埃だらけの街角、仕事がなくただ外に立っている男たち、不規則に行き交う車と排気ガス、クラクション。子供の鳴き声、人々の喋る声、溢れる音。雑踏。土ぼこり。

所々ぼやけ、立体感のある撮影がとても素晴らしく、まるで旅行でその街を訪れたかのよう。ドキュメンタリータッチで、この前半だけでも見る価値があるのでは、と思う。


子供だけは次々作りながら、仕事もせず自らを哀れんで面倒も見ずに底辺で生きる両親の元に生まれたゼイン君。

必死で妹を愛し、街角で物を売り、行きたい学校にも行けずにチンピラまがいの男がやっている商店で働く毎日。


とうとう家を出たゼイン君。ここから後半はゼイン君の視点で、ものすごいスピードで物語が動いていく。これが良い方向にだったら良いのだけれど……


存分にゼイン君の厳しい状況を見てしまった後では、後半は号泣しかなかったです


とにかくゼイン君役の彼が素晴らしい

「どうか、どうかもう子供を産まないで。僕らのような子供を作らないで」

このセリフに本当に心を潰されるような思いになる。

だけど、かわいそう!!という悲痛さを味わうだけの映画ではない所がすごい。
子供たちの生き生きとした表情、生命力溢れる街、必死で誰かを守る愛情。そういうところがリアリティーをもって丁寧に描かれているので、不思議と見終わった後に心の深いところから力が湧いてくる。絶望と生きる力、生きる尊さを感じる。


何年かぶりにパンフレットを買って、主役の子の経歴を見てさらに号泣

「スウェーデンに行こうね」
って、映画の中で言ってた

キャストはほぼ、役と同様の境遇にあった素人の人たち。見た後も様々なシーンを思い出しては様々考え込みます。
映画館で見られて良かった。

このレビューはネタバレを含みます

胸がいっぱいになった。
映画館出てからもしばらく震えが止まらんかった。
あんまりリアルで、映画だってことを忘れてた。
なんでこんなにリアルなんだろうと思ったら、キャストにとってこれがリアルだからだった。実際のシリア難民で路上で働いてたところをスカウトされた主演の子役をはじめとして、キャストは全員ストリートで発掘された人。彼らの瞳が語るものは演技じゃなくて、苦しいくらいの心の痛みも伴った訴えで、だからこそ見る人の心に突き刺さる。
考えさせられるとか、それもそうだけど、それは今からの話で、とりあえず今は、あまりに大きすぎるショックを自分の中で処理するので精一杯。
知ってたはずなのに、このリアルを知らなかったはずがないのに、まるで初めて知ったみたいに衝撃を受けて涙してる自分が、嘘くさくて情けなくて悲しい。
忘れたままでも生きられるもんね。
胸をえぐられる映画
d

dの感想・評価

4.6
酷い境遇に置かれながらも生きる子どもの強さが凄い。自分が彼の立場ならやっていける気がしない。

きちんと責任取れないなら子ども作るなよ、という感情が凄い。
Kyosuke

Kyosukeの感想・評価

4.6
最近観るレバノンの作品は、政治の規範的問題に触れながら、人間の尊厳や在り方について深く考えさせてくれる。逞しい子供と卑しい大人、賑やかなダウンタウンと汚れた路地裏、天使のような赤ちゃんと過酷な現実などの対比が心を抉る。商業としてのエンターテイメント映画も廃れてほしくないが、国際情勢を通して問題提起などができる、ツールとしての映画も注目されてほしい。
shinya

shinyaの感想・評価

3.5
真実を元にフィクション化した、レバノンのスラム街で生まれた少年の地獄巡りの物語。
「僕を生んだ罪」で両親を訴えた少年。
彼が迷い込んだスラムでの出来事を覗き見ながら何故そのようなことになったのかの経緯を知る。
見えて来たのはレバノンの社会情勢が生んだ負の連鎖から起こる、貧困、人身売買、薬物、育児放棄などなどの混沌(原題)とした社会だ。
そして、そこにはもちろん罪なき犠牲者の子供たちが存在している。

汚れた社会の中で子供たちの屈託のない笑顔に癒される。と、同時に怒りと虚しさが押し寄せてくる。

この状況を映画を通じて世界が知り、何か1つでも前進することで子供たちが助かることが大切なわけで、それを体現したゼインの存在はとても尊い。
ラストの彼の表情を観た人は忘れられないだろう。

僕なんかがのうのうと生きていてすいません。と苦しくなるのだった。
>|