NinaSinnerman

バハールの涙のNinaSinnermanのレビュー・感想・評価

バハールの涙(2018年製作の映画)
3.7
またまた女性監督モノ。
と、いう括りでは余りにも申し訳が立たないテーマ。

ヤジディ教徒のことやISは一時の世界的恐怖を思えば昨今過去の報道になりつつあるが、現実に起きた事実であるということはその時その場所を生きた人がいるということ。
今も、彼方ではあってもどこかで生きていて同じ時を過ごしているということ。
他人の記憶は過去だけれど、自らの経験は自分の中に生き続け、過去との境目なんてありはしない。
同じ「人」として誰かの痛ましい過去のその痛みに寄り添うための報道や記録があるべきで、その手法のひとつが映画というものでもいいのだと思う。

良くも悪くもゴルシフテ・ファラハニには華があり過ぎて、演技自体も良いのにたまに複雑な気持ちにもなった。

戦場で埃にまみれ腰を低く銃を構えながら進む彼女たちの髪を覆うのはどれも鮮やかな花柄のスカーフ。

個人的に同性でもステレオタイプなフェミニストには賛同しない方だけれど、母性も含め女だからこそと、いう自発的な女らしさは何ものにも代え難い。
それが高じてか転じてか女性が物理的に価値として交換されるのは古からの人間社会の悪しき普遍で、そんな人間の業を泣き叫びながら突っ返していこうとボロボロになりながら立ち上がり歌い戦う女性たちがいる。

映画としての作り云々よりも、まずせめてその事実を少しでも多くの人に知ってもらいたいという意思には大いに賛同する。
NinaSinnerman

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