菩薩

イメージの本の菩薩のレビュー・感想・評価

イメージの本(2018年製作の映画)
4.0
面白いくらいに意味が分からなくてとても面白かったのだけど、本当に意味がひとっつも分からなかったから、途中から「綺麗でしゅね」と「凄いでしゅね」以外の語彙が全て消滅した。そりゃただでさえ分からない他人の頭の中を、しかもゴダール程の人物が88年かけて積み重ねて来た物を、それを丁寧に編纂したブリタニカ国際百科事典ばりの「イメージの本」を、たかだか80分程度で、しかも鉄拳の3倍くらいのスピードでパラパラ漫画のようにめくっていくのだから、意味など分からなくて当然だなとも思うのだが。フィルムやレコード、そして車輪の様に、世界は今日も回り続けている、そして人間の命も、同じ様に輪廻と転生を繰り返しは、その人が刻む「歴史」こそが、1秒から始まり永遠へと連なる物語へと変換されていく。争いの先には平和があり、平和の先には再び争いがある、希望の先には絶望があり、絶望の先に再び希望は訪れるかと、懐疑的でありながらも、決してそれを捨てようとはしない、いや出来ないのが今日の世界なのかなとも思うし。遺言の様にも受け取れる作品だが、俺にはまだまだ伝えるべき事がある、表現したいものがあるのだと言う底知れぬ生命力も秘められている、恐ろしきJLG、今頃ヴァルダと寺尾次郎は笑ってるんじゃないか。
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