いの

ドッグマンのいののレビュー・感想・評価

ドッグマン(2018年製作の映画)
4.1
NOと言えないマルチェロ


イタリアの海辺の町。でもイタリアの海というイメージからはほど遠くて、裏寂れたこの町の空はほぼ曇で覆われてる。手がつけられないほどの厄介者シモーネに、いいように支配されているマルチェロ。マルチェロは、泥水ぺろぺろしようとするワンちゃんたちに、「汚いから飲むな」と言ってたけど、それはシモーネに対する自分自身に相応する。この映画は寓話に満ちている。マルチェロはどしてNOと言えないの? それはね、どうしても言えないからなの。マルチェロにとってシモーネは白いクスリでもあり、わかっていてもこの関係を断つことができない。いいように支配されてるだけってわかってるけどやめられない。なんだかアメリカと日本との関係にみえないこともない。


トリミングサロンなどという言葉のイメージとはほど遠い🐶DOGMAN🐩←これはマルチェロのお店の名前。マルチェロがワンちゃんたちをこよなく愛していることがわかるし、ワンちゃんたちとの接し方が本当に良くて、それはもう神だなって思ってしまう。さわられたり乾かしてもらったりしてるワンちゃんたちが至福の表情をみせるとこ好き。マルチェロは愛娘ちゃんとワンちゃんsとだけなら、とても自然につきあうことができるのに。


観終わってもあとを引く。


円形の砂場は、マカロニみたいやけど(そうだ、この映画の舞台はイタリアだった)、その場には血斗にふさわしい男たちが立っているわけではなく、ただわびしくそこにある。
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