イタリアの寂れた町で「ドッグマン」という犬のトリミングサロンを経営する男マルチェロが、近所に住む暴力的な男に搾取される話。そんなマルチェロも本業だけでは娘にプレゼントを買ってあげる事も出来ず、ドラッグの密売で何とか生活できている感じ。暴力男は元々は顧客の1人でもあった。健全な友人関係ではないが、いわゆる共依存の関係という奴だ。
2人の男のどちらに共感を覚えるわけでもなく、映し出される街の風景も小汚く、観終わった瞬間は、これはイマイチだった、、、と思っていたのだが、その後味が尾を引いて、マルチェロのへらへらした笑い顔が頭から離れない。あと、ブルドッグの頬の肉の隙間にドライヤーを当てるシーンが、頭ら離れない。ブルちゃん、気持ちよさそうな顔してたなぁ。
マルチェロを演じるマーセロ・フォンテは、本作で2018年のカンヌ映画祭男優賞を獲得している。作品自体は最近のカンヌ受賞作に多いシュール系でありながら、正直さほど抜きんでたものがあるとも思えないのだが、主人公の表情が本当に個性的で、彼の表情の変化や、犬とのやり取りを見ているだけで、知らない間に強烈な印象が頭にインプットされるという、なかなかの珍品映画。