ダイアー教授

ドッグマンのダイアー教授のレビュー・感想・評価

ドッグマン(2018年製作の映画)
4.5
題:ノビタとジャイアンの残酷物語

『DOGMAN』、つまりイヌオトコ…イタリア映画です。
イタリアで起きた実際の殺人、「犬の美容師の男がいじめっ子の元ボクサーをぶっ殺した事件」が基だそうです。

イタリア映画で「犬」ときたら、『ヤコペッティの世界残酷物語』を想起しました。
『残酷物語』の原題は『MONDO CANE=犬の世界』なので。
この映画はさしずめ「ノビタとジャイアンの残酷物語」と言えるのではなかろうか?
と思いました。
そんな本作のレビュー、3つにまとめて申し上げます。

1.犬の特性
犬の身体は機能的です。
猟犬は速く走るために脚が長く、闘犬は牙が大きくて面の皮が厚く、ダックスフントは穴にもぐるために長細い、等々です。
人間が交配した結果、犬が体得した特性です。

本作のマルセロとシモーネも「特定の特性に特化」させるために、交配を繰り返した結果産まれた人間…つまり「犬」のような産物に思えました。
ご両人の特性とは、
マルセロは痩身・貧弱・気弱・優柔不断・服従、
シモーネは屈強・粗暴・強気・自己中心的・支配
です。

2.マルセロとシモーネの関係
マルセロとシモーネはどんな関係なのでしょうか?
「人間と犬」あるいは「犬と犬」の間の「主従の関係」あるいは「上下関係」なのでしょうか?
マルセロはシモーネの犬なのでしょうか?マルセロが下でシモーネが上なのでしょうか?

私はマルセロがシモーネに向ける思い入れに、上下や主従を超えた愛、博愛的なもの…いや、同性愛的なものを感じました。
負傷したシモーネをニケツで運ぶマルセロの表情は、後ろで寝てしまった恋人の寝顔を愛おしむような表情のようだったので。

3.マッテオ・ガローネ
本作で監督のマッテオ・ガローネさんを知りました。
『ゴモラ』と『五日物語』を鑑賞しましたが、すごく良かったです。
こういう出逢いのために、映画を観続けていると思いました。