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REVENGE リベンジのblacknessfallのレビュー・感想・評価

REVENGE リベンジ(2017年製作の映画)
3.6
レイプ・リベンジ・ムービーは下世話な欲望のエクスキューズから生れた性質上なんやかんや言っても、ほぼほぼ男性目線で作られたもんばっかなんだけどこれは違った。
監督が女性てこともあり、男の身勝手さや醜さを本気度とリアル度の高いタッチで描写してた。男だから同性としてこいらクソだなって怒りと自分の中にもあるかも知れない男性性の病理を突きつけられた苦さが同時にくる。それぐらいのハイ・レベル。

フォーマットは典型的なレイプ・リベンジ・モノなんだけど、考え抜かれてるが故に他のと違った点がある。

まず、犯人達がパワーエリート系のリア充。事件は犯人の野郎3人のうち一人が所有する別荘で起こる。
普通、このテの映画のレイプ犯て社会的なアウトローとか色んな面で女性に相手にされなそうな設定が多いんだよ。チンケな犯罪者集団とか田舎の貧乏なおっさんやあんちゃんだったり。この映画みたいに女性と遊ぶのが容易な階層の人間を持ってきたのは軽く驚きだった。
これには必然がある。見れば分かるんだけどその意図を知るとその深い狙いに唸ることになる笑
その意図とは何か?
発端は一人のパワーエリートの性欲の暴走なんだけど事がエスカレートする理由は、この犯人達3人の中にある男尊女卑の意識と自分等は社会の勝ち組であるって選民意識。それらが女性に逆らわれたことで加害性と支配欲が刺激され陰惨な暴行のトリガーになる。
要するに男性社会や価値観の中に潜在的にある弱肉強食の肯定、病んだ加虐性、支配欲を浮き彫りするためなんだよ。

次に被害者からリベンジャーになる女性、そもそもこの人、別荘所有してるパワーエリート(妻子持ち)の愛人なんだよ。セックスアピール力が高いルックス、それを鼻かけて相手が誰であれゴージャスなレジャーやシチュエーション与えてくれれば、素敵なセックスでお応えします的な、職業・セクシーみたいな笑
ひどい言い方だけど、これマジでそんな感じなんだよ。これもちゃんと必然性と言うか意図があるんだよ。
その意図とは何か?
このレイプされ暴行される女性、それまでは全能感に包まれてるんだよ、とにかく自分に寄ってくる男は全員、自分に夢中でサービスしてくれるから。
でも、レイプされそれを糾弾したことで反感を買い男達にボロッボロにされたことで気づくんだよ。自分は単に男の欲求を満たすための道具としての存在として大切にされてたに過ぎないって。その傅きや好意は男の意に沿った時だけのものだったと。
ここから、彼女の復讐が始り血みどろの死闘になるんだけど、その戦いを通して彼女が強い意志を持った女性になっていく成長譚になってるんだよ。
だから、最初はあーゆービッチ設定にする必要があったわけ。

この彼女の撮り方が素晴らしい。ビッチの時は実に男の劣情をブンブンに煽りまくる存在感を演出とカメラワークで濃厚に漂わせてた。
レベンジが始まってから徐々に毅然とし凛々しくなっていくわけなんで対比のメリハリが効いてて分かるんだよね、説明的なセリフとかないんだけど、彼女の心の変化が。
この動きと表情での心情描写が本当に見事!最初はただのセクシーボンバーだったのに最後にはマッドマックス 怒りのデス・ロードのフュリオサみたいな戦士のオーラを放ってた!これは監督の才能のなせる技。あと、ここまで気高く見せるのは女性へのメッセージなんだろうな。

とても真摯でメッセージ性強い映画なんだけど、エンタメとして魅せる精神も忘れてないのも好感度が高い。
マッドマックス2やサランドラみたいな砂漠で男3人相手に殺し合いすんだけど、銃撃戦から肉弾戦を手を抜かずゴアと血のり大盛りで画いてくれてる。
銃撃戦なんて砂漠の谷間や窪みを利用してサスペンスフルに盛り上げるし、肉弾戦はナイフやガラス破片でついた傷口の痛々しいアップやどす黒いリアル仕様の血のりがドクドク流れる痛覚に訴える思わずヒィッってひきつるシリアス・ウルトラ・バイオレンス!

自分が観たレイプ・リベンジ・ムービーでは間違いなく一番の傑作。バイオレンス好きにもフェミニズムに関心ある人にも観てほしい。

と、ここまで書いて思い出したけど、レイプ・リベンジ・ムービーと言えば被害者の女性の無念とインディアンの聖霊が霊的融合して復讐するサベージ・キラーの方が好きだな、おれ笑
リアリズムよりダーク・ファンタジーのが好きなので、やっぱりこっちを多くの人に観てほしい笑 なのでサベージ・キラーを是非観てください(ひどい結びだ😂)
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