かつきよ

アップグレードのかつきよのレビュー・感想・評価

アップグレード(2018年製作の映画)
3.8
好みのSFでした!
全身不随から、テクノロジーによりチート能力つきで復活、、、復讐劇をはじめます!(正確には若干違うけど)っていう、その設定だけでまず面白い!
個人としては、マルドゥック・スクランブルを思い出しました。
チート能力の異世界転生系にも通ずる爽快感というか、主人公感がありますよね。
この設定に興味が持てた人なら、見て損はない名作です。
スピード感のあるストーリーで、わかりやすい上にいろんな展開がサクサクと進むので、観ていて爽快感もあると思います!

この映画の好きな所はたくさんありますが、まずは、やはり、主演のローガン・マーシャル=グリーン!!
ドラマによく出ている俳優さん?らしく、映画は出演数が少ないですね。私はこの映画で初めて観ましたが、めちゃくちゃ好みの顔なので、まず役者さんを観ているだけで楽しかった!です😂笑
それだけではなく、もちろん彼の演技にも魅了されました!
本作の魅力といえば、あの突飛なアクションシーンだと思うのですが、顔と体の演技がちぐはぐな感じは彼の自力演技なのでしょうか?動きもかなり機械的でスマートですし、本当にロボットっぽいですよね。演技力といっていいのかわからないあの不自然な感じ、彼の自力なのだとしたら凄い!
カメラワークのおかげもあるでしょうが、それでも、チップを埋め込まれたあとって、動きがすごくぎこちなくて、演技感が無いので没入しちゃうんですよね。
ふとした時に何度も、あれ、まてよ、この役者さんは全身不随じゃないんだよな、、、本当に機械が制御してるわけじゃ無いんだよな、、、?と思ってしまったほどにユーモラスな動きです。
首から上は本当に人間的なのに、、、
まだ観てない人は是非観てほしい!
ガブリエルさんは、パージの3作目とゲットアウトで見たことがあり、その演技力は、素晴らしいと思いますが、顔がちょっと苦手、、、
今回は配役としても、ちょっとうまく機能していなかったかなぁと思ってしまいました。活躍はもちろんしていたのですが、結局存在感のわりに、物語の核をなす活躍は見られなかったかなというか、、、

次に好きなところは、画作りですね!
ワンシーンワンシーンが静かに美しいです。ブレードランナーなどがそうですが、近未来SFって、画面の情報量が多くなりがちだなって思います。近未来感を出す面白い演出がせめぎあって、わくわくはするんですけど、それ以上にごちゃごちゃというか、、、それがまたSFの醍醐味なんですけど。
逆に今と全く変わらない中に、テクノロジーが自然と溶け込んでいる感じのSFもありますよね。あれもあれですごく好物なのですが、アップグレードはわりとThe SFよりの世界観でした。ブレードランナーとか、スターウォーズとか、そんな感じなんですけど、それでも画面がなんだかシンプルに感じました。
色彩がごちゃごちゃしていなくて、わりとすっきりしていたり、空間的な余白がきちんとあるからかなと思いますが、、、
特に色彩に関しては独特の魅力があって、映画のキービジュアルの雰囲気がすごく好きなのですが、それがそのまま映画の中でも発揮されています。
暗い中に、赤とか青とかビビッドなランプカラーが差す感じ、、、

あとはなんといっても戦闘シーンでしょうか。
今までに観たことのないカメラワーク、画作り、演技を総動員して、かなり視覚的に新しいバトルシーンが演出されます。一部普通に歩いているシーンなんかも、特殊なカメラワークが使われて、どことなく不気味というか、あー、この人は機械に制御された身体なんだなぁと、ずおっと伝わってきます。

これだけ真新しくて、視覚的にもかなり訴求力、芸術性ともに優れた画作りをする映画なので、かなりお金をかけているのかと思いきや、なんと500万ドルほどとかなり低予算なことにびっくり!!
かなり切り詰めて撮影したらしいですね
テイクも全然取れなかったみたいなのに、それでもあれだけ素晴らしい映像に仕上がっていたのだから、プロの仕事ってすごいなと本当に感心。

肝心のストーリーについてなのですが、、、
大筋のストーリーはつまるところの復讐劇と、かなりわかりやすく面白いです。
あまり複雑すぎるストーリーではなく、目的がはっきりしているストーリーだからこそ、余計なことは考えずにその独自の世界観やアクションに集中できるなと感じました、
しかし、わかりやすいからこその、既視感のあるストーリーなのも否めないですよね。

ラストの展開で地味に伏線回収もあって、ちょっと一捻り加えたラストを演出するかなり面白い作品に仕上げられているのですが、個人的には思っていたよりパンチが少なくて不完全燃焼でしたー。評価は高いし、評価が高いのも納得のクオリティなのですが、単純に好みの問題、、、もあるのでしょうか、、、

なんというか、脚本のよく出来たサスペンスが大好きな方で、そういう演出に慣れている人だと、結局その一捻りも予想を裏切らないというか、、、
それでも面白いは面白いのですが、なんというか、一つ一つの演出や展開の意味がつながっていく感じが少し物足りなかったり、、、
言うなれば、映画の展開が先に来てしまって、そのために肉付けされたストーリーの、骨格が肉間から見えている感じと言いますか、、、

あんまりいってしまうとネタバレになってしまうので、、、
本当に練り上げられてウィットの効いた良い脚本ではあるので、やはり好みの問題かなとは思いますが
もう少しインパクトと衝撃が欲しかったなと思ってしまいました!笑

それでも、ストーリーに不足はないですし、やはりその画作りは本当に素晴らしい!役者さんもいいし、ぜひぜひ、一見の価値アリです!!
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