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アメリカン・アニマルズのkassyのレビュー・感想・評価

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)
3.7
試写会にて。
バート・レイトン監督登壇で、貴重なお話を沢山聞けた上に即席サイン会まで。とてもフレンドリーな監督でした^_^

ケンタッキーのトランシルヴァニア大学には12億円もの貴重な本が展示されている。しかし警備員はおらず、司書がいるのみ。そこに目をつけた、何者かになりたい大学生達が、強盗を計画し…!?

実際に起こった事件の映画化であり、ドキュメンタリー出身の監督ならではの驚きの手法で、実際の犯人達の語りとドラマがミックスされる面白い構成の強盗劇である。
犯人達があまりにも語りが滑らかでイケメン揃いなので、見ながらReal(本人)って書いてあるけど役者か?と混乱するくらいであった。

オーシャンズ11やレザボア・ドッグスを参考に犯罪を企てる大学生。
オーシャンズ11のように華麗にいきたいところだが、そうは上手くいかないのが現実である。
盗難初心者の彼らの愚かさや浅はかさがしっかりと描かれており、思わず笑ってしまうほどの滑稽さもある。

それは、本人達の背景や監督の意向がしっかりあるからこそ。

「若い時は特別になりたい、自分は特別だと思ってたけど、全然特別じゃなかった」

特別になる為に犯す行為…それを突発的にしてしまうのは動物的衝動。アニマルズなのだ。

監督のトークでは、欧米では普通である事がルーザーという風潮があり、現代の人間はステータスを求めるような進化をしてしまっているという話が印象的だった。

バイトテロだとかわけわからん動画とかツイートしてしまうのも、結局これに通ずる気がする。
若い時って、特別な何かになりたくてしょうがない。だからこれはクライムムービーでありながら、正しく青春映画でもあり、アンチ青春犯罪映画なのかもしれないと感じた。

きちんと若者達の愚かさを描き、犯罪の虚しさを描いている。
そのしている何者かになるための行為って…どうなるか分かってるの?って投げかけている。
それが面白い映画になっていたと思う。

アートワークも非常に冴えており編集も軽快で面白かった。ポスターがどれもオシャレなのが良い!

主役のエヴァン・ピーターズも良かったし、バリー・コーガンの異様な存在感はやはり最高でした。見てるだけで不安になるバリー、やっぱりすごい。


以下、監督のインタビューメモ

*被害者の方は、犯人に対して怒っていたが、この映画を見て初めて犯人達の動機や経緯や人となりを理解することができて、許すことが出来たそう。これってものすごい事だと思った。

*なぜ犯人達はあんなに自然に喋っているのか?
長い年月をかけて、監督と犯人達の信頼関係を築いたから。
また、犯人達の映像は、マジックミラーを挟んで監督が見えており、撮影はしているけどカメラは見えないので、カメラの存在忘れて監督と喋ってる感覚でインタビューする手法をとった。そうする事で、観客に直接話しかけているように映る。
これ、すごく効果的でした!

*コメディぽくしているが、一線を超えた後はあえてツラくしている。現実を見せている。
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