まめまめちゃん

アメリカン・アニマルズのまめまめちゃんのレビュー・感想・評価

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)
3.8
大学生のウォーレン(エヴァン・ピーターズ)とスペンサー(バリー・コーガン)。くだらない日常に風穴を開けたい、特別な人間になりたいと焦がれる2人は、大学図書館に貯蔵される貴重な本を盗み出す計画を思いつく。FBIを目指す秀才エリック(ジャレッド・アブラハムソン)と、当時既に実業家として成功を収めていたチャズ(ブレイク・ジェナー)を仲間に入れて、過去の大泥棒映画を参考に強盗作戦決行。そこで彼らを待ち受ける運命とは?

悩みましたが書き直し。

妄想と現実の間の壁はなかなかに高いのですが、その壁を越えるまでの葛藤と理由づけがすごく丁寧でしたね。撤回することが勇気だと思えない未熟さ。勢いを止められない未熟さ。いつでも引き返せるのに、ああ…といった形で観客を引き込んでいく手法、お見事でした。あの変装のヘタクソさもそのひとつ。

この未熟さの最たる存在が犯罪を成し遂げてしまうのかもと思いました。自分の欲求だけが全てで、周囲の人の協力は当たり前で、欲求を満たすのに邪魔な人間は排除して然るべきで、そこに一切の迷いはなし…スーパーで何かを欲しがってそこら辺に転がって泣いてる子供みたいに。
でもこの4人はそうではなかったんです。他人が傷つく姿を前にして自らも傷つき手が止まる姿、今でも目の奥に焼き付いています。

この主役の2人或いは4人の境遇には少しも共感できません。だって恵まれてるんだもの。私などの人生とは少しも共通項の見当たらない眩しい4人ですよ。そんな観客だってたくさんいたと思います。
自分が何者でもないことに焦り、本当の居場所がどこかにあるのではないかと苛立ち、その場所を手っ取り早く手に入れたいと願った結果がコレというのはなんともお粗末ですね。
現実の壁を越えたその先を想像できない未熟さを描きたかったのかな?ターニングポイントに気づけと言いたかったのかな?

未熟さとはなんなのか?ってことをたくさん考えました。これを高校生の娘が見たらどう思うかな?と少し考えましたが、娘にとってはやや説教くさい映画かもと心の中で却下してしまいました(でも行くかも?)。