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アメリカン・アニマルズのnetfilmsのレビュー・感想・評価

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)
4.0
 滑稽な老人風メイクに扮装した4人組が、銀行でもコンビニでもなく、いかにも何も無さそうな学校へと向かう。かと思うと4人の滑稽な道行きに対し、10年以上もの間、服役していた本人たちが当時を振り返り、カメラに向かい洗いざらい話す。今作では事実に基づく物語を俳優が演じ、10年以上前の現実を、当事者たちが話し始める。「事実に基づく物語」と「事実」とは同じなのだろうか?それは互いに反復しながらも、少しずつ差異を生み出していく。それこそが監督の意図したドキュメンタリーとフィクションとの巧妙なすり替えではないか?

 ヒーローを演じた役者たちの汚れた仕事、それはソダーバーグの『オーシャンズ』シリーズのように見事かと思えば、明らかに稚拙で不安な結果を招き入れるまさに「ファック・アップ」なシチュエーションであり、メンバーの名前を各々が偽名で呼ぶ姿やドライブ感丸出しの音楽など、肌触りははタランティーノの『レザボア・ドッグス』への無邪気なオマージュにも見える。ただ『レザボア・ドッグス』で本気のバカだったおっさんたちに対し、彼らは裕福な家庭で、多くのチャンスを得ながらもまだ人生で果たすべき役割を知らない。そんなあまちゃんたちの苦み走った顔の焦燥感は、猛禽類の絵の贋作にも見える。
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