『一線を越える』
大学生、若者4人が一攫千金を夢に見て、
大学図書館に所蔵されている、画集(時価1200万ドル)を手に入れるために、奔走する。
正直言ってしまえば、物語の結末は見えている部分が多いわけです。
それをふまえても、お話のストーリー、ハラハラ感として楽しめました。
一般的な目線で見ていれば、
「何やってるんだ、馬鹿じゃねぇの?」と、思ってしまうような計画。
そこまでして、お金を手に入れて何をやるんだと思ってしまうと思います。
ですが、自分としてはどちらかというと彼らに共感してまう自分がいました。
大学生。20代。社会に出る前の時間。
今から考えても、これから社会に出たところでどうなるのか。
先の見えない漠然とした不安。
これから待っている未来は、決して自分たちが待ちに望んだものではないという確信。
この時期に感じる何とも言えない、漠然とした感情。
社会に出た後に何度も感じるものではあるとは思いますが。
学歴も、コネもない。
たいして家族や、周囲の環境に恵まれて、素晴らしい教育を受けてきたわけじゃない。
20才そこそこの時点で、自分が思い描くような成功をしている人との圧倒的な環境差を感じているのかなあとも思いました。
そういった、
「俺の人生このままだと、たいした人生にならない」、
という危機感、焦燥感が彼らをこういった犯罪に向かわせたのだろうと、自分は解釈しました。
多かれ、少なかれ多くの人が、こういったものを感じながら生きているのではないかと思います。
よっぽど恵まれている環境にいる人ならともかくですが。
なぜ、その犯罪者は、そういう犯罪を犯してしまったのか。
その背景にある、状況や、社会そのもの。
それを理解することが大切。
犯罪者を一刀両断せずに、そこにどんな背景があるのかを理解することが大切と感じました。
事件そのものにフォーカスするよりも、それを理解することの方が、自分のためになるのかもとも思います。