アメリカン・アニマルズの作品情報・感想・評価

上映館(8館)

「アメリカン・アニマルズ」に投稿された感想・評価

GreenT

GreenTの感想・評価

3.5
「どうせバカな若者が犯した犯罪を美化した下らない映画だろう」と思ってみたら全然違くて、逆にタランティーノ以降のスタイリッシュなクライム・アクション映画を風刺ってると思いました。

バリー・コーガン演じる、美大生のスペンサーにとても共感しますね〜。ケンタッキーのような田舎に住んでいる若者にとって、大学へ行くってことは憧れだったに違いない。スペンサーはきっと、カレッジで才能のある同級生や先生に出逢い、自分の才能も開花すると思っていたんじゃないかと思う。しかし現実は、酒飲んで下らないことしているバカばっかりで、誰ともコネクトできない。

スペンサーのクレイジーな友達、ウォーレンも一緒で、スポーツ特待生として奨学金をもらっているのに、全然練習に行かない。大学に行けば未来が開ける、と親に言われ続けてきたのでその通りやってきたけど、大学に入ってみたら、実は自分はそんなにスポーツ好きじゃないと気がつく。

ウォーレンは映画が好きなのだ。大学の図書館に無防備に置いてある10億円相当の貴重な本を盗み出すにはどうすればいいか?と、スペンサーと一緒にクライム映画を見まくったり、自分の考え出した計画を想像するシーンでは、まさにオーシャンズ11さながらに、スーツを着た自分たちが華麗に、流れるように美術品を盗み出す。

二人では人手が足りないと、エリックとチャズという友達もリクルートしてくるんだけど、この子たちはみんな、きっと他の子たちより志しが高かったんじゃないかと思う。

この話は実話の映画化なので、実際に美術品窃盗を働いた本人たちのインタビューが出てくるのだけど、その中でエリックは、リクルートされた時、ウォーレンがなかなか内容を言わなかったんだけど、「とてもデンジャラスなことなんだ」って言われた時、もう「やろう」と決めていた、と言っていた。

大学の枠の中では何もチャレンジングなことは見つからなかったけど、美術品窃盗の計画を立てるというのは、本気で頭を使う、楽しいことだったのではないか。

実際スペンサーは、図書館の正確な見取り図を描き、それを元に模型まで作ってしまう。老人に変装しようと、顔にシワを作る工夫をする。私もモノづくりが好きなので、目的があって何かを作っている時は楽しいだろうな〜って思う。

これが本当に犯罪を犯すことではなくて、映画のシナリオでも考えていたのだと思って観ると、とてもヘルシーなクリエィテヴな活動に思える。

しかし実際に彼らが実行した窃盗は、あまりにお粗末でびっくりする。何一つ計画どおりに行かないばかりか、ナメくさっていた図書館のおばさんを縛ることさえ怖くてできない。

この感じがすごくリアルで、気持ちが良くわかった。確かに、怯えている人や痛がっている人を無理強いしたりするのって、すごく勇気がいる。おばさんが失禁してしまったのを見て完全にビビるエリックが気の毒になった。

犯罪を犯した後は、いつ捕まるかとビクビクして、そのストレスにみんな耐えられなくなるところも、先にウォーレンが想像した「スタイリッシュなクライム・ムービー」のようにカッコ良くは終わらないんだ!とつくづく思った。

映画の中で、図書館に置いてある貴重な本のことを”rare books”と呼んでいるんだけど、”rare”って「希少な」「珍しい」という意味があり、『アメリカの鳥類』という大きな画集には、”rare birds”、今は生息していないような鳥の絵もいくつかあるらしい。

タイトルの『アメリカン・アニマルズ』は、色んなことに恵まれすぎていて、逆に目的を見失い、スタイリッシュなクライム映画を現実と思ってしまうアメリカの若者の怖さを表しているのかなって思うんだけど、同時にこの4人は、その中でもとても”rare”な子たちだったんだという風に描かれている気がする。映画の中で描かれる他の大学生を見ていると、「何かが違う」「こんなのガッカリだ」と思ったこの子たちの方がまだまともな気がしてくる。

この子たちは、7年間刑務所に入ったそうだ。7年間!20歳で犯罪を犯したとして、一番アホなことやり放題な20代のほとんどを刑務所で過ごしたのだ。でもね、現在の彼らを見ると、この犯罪を犯しても犯さなくても、この子たちはこうなっていたんじゃないかと思う。刑務所の中で今後の身の振り方を考えたかも知んないけど、刑務所に入らなくたってある程度のトシになれば身の振り方を考えなくちゃならない時は必ず来る。あの頃こういう自分になるとは思ってなかっただろうけど、でも今ある自分に運命的なものを感じているのではないかと。

PS
サントラもめちゃめちゃいいです。
おもしろい。
盗むシーンが始まってからは緊張感が半端ない。2回観てもパない。心臓に響くサウンドも効いてて。しかも笑いが止まらない。

fxxking key!
fxxking book!
鬼気迫るさまざまなfuxxingの使い方が学べてしまうけれど、これが演技だなんて思えないくらい。なんなんだろう。感動してしまう。

彼らと共に気分が上がったり彼らを冷ややかに眺めたり私たち観客のいろんな感情を引き出されてしまう作品だと思った。

自ら書いた絵の目を破る場面が印象的。

好きなシーンは車を発進するところ。

サイコーでした。

ちょうど読んでいたヒルビリーエレジーを思い出した。
Omekosan

Omekosanの感想・評価

3.3
色んな映画を彷彿させるシーンが沢山あった。
カットの繋ぎ方がオシャレで「記憶とは各々の演出と脚色が加えられる」と言う点がリアルに描かれていた。
個々が自分の脚色と演出を加えた過去と向き合い苦しみながらその後の人生を送る事は、結局逃れられない事実で「これは真実の物語である」と言う最初の文言がフラッシュバックした。
みゆじ

みゆじの感想・評価

3.8
決行してからの後半が良かった。
本人たちは最悪な気分だったろうけど、客観的に羨ましいと思っちゃうな。
ここまで大それたことはしたこと無いけど、共感出来る要素は多い。
芥子

芥子の感想・評価

3.8
自分の人生これでいいのかという不安も、そこから逸脱することへの好奇心もよく分かる。こういうモヤモヤした気持ち自体は全然悪くない。まだ大学生なんだから、そのエネルギーを別のところに使えばよかったのにと思う。7年間という代償はあまりにも大きい。
犯人たちの現在を見て、一発逆転して映画の主人公みたいになる方法なんてないんだと分かる。現実は過去と地続きで、それは救いでもある。クソみたいな生活とハッピーエンドとの間には断絶がないということ。
ゆか

ゆかの感想・評価

3.4

退屈な日常をぶっ壊したい

俺たちは何でもできるし、何にでもなれる

何か世間を驚かす大きなことを成し遂げたい


…こういうのニュースでよく聞くやつだ!って思った。




短絡的でお粗末な、強盗の話。
ちょっと考えれば失敗するってわかることだけど、高校生とか大学生って魔法みたいに、なんでも出来ちゃう気がしてしまう。

一体なんなんでしょうね、この魔法は。
いい方に転べば、最強の魔法なんだけどね。
n_kurita

n_kuritaの感想・評価

3.0
疲れる映画だった。面白いけれど観ていると主人公の内面と一体化する感じがあり、後半の追い詰め方(というか自爆)がきつい、精神的に。
普通が嫌で、自分にも何か特別な事を成し遂げる能力があるはずだという幻想と、しかしやっぱりどこまでいっても普通だからこそあの結末。そして同じく、嫌というほど普通である自分自身のクズさを加減を突きつけられている気がして居た堪れないのである。
くりす

くりすの感想・評価

3.9
序盤どういうペースで物語が進むのか掴めない。
だんだんと引き込まれ始め、5人目として作品の1部に入ってるようだった。
本人達が劇中に登場してストーリーの進行の中で話すのは新しい!面白い!と感じたけど、誰かのレビューにテレビ番組の再現ドラマ…という表現を聞いて確かにwと思っちゃった。ただし再現ドラマのクオリティーは高い。

全体的に絵作り好きだし、編集もいいと思うんだけど、そもそもの犯罪計画自体が稚拙でクオリティーが低く、映画にする必要があったのか疑問。所詮はガキのする事だから仕方ないんだろうけど。実行シーンの一点で全てが台無しになってる気がする。

余談だけどパンフレットの出来が非常に良い。アートブックのようで持っている価値がある。
>|