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こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話のトルーパーcomのレビュー・感想・評価

4.0

#こんな夜更けにバナナかよ
難病の筋ジストロフィーを抱えながらも、入院せず自宅で自分らしく生きたいという意思を強く持つ主人公が、家族のようなボランティアたちと過ごした人生を描いた実話ベースの映画化。

障碍者は身体こそ不自由だけれど、周囲と対等な1人の人間である。
・同情/優しさで介護をする健常者
・彼らに依存して頭を下げて生きる被介護者
という関係ではなく、

時にワガママを言ってケンカをしたり、
自分の意思をしっかり示すことで逆にボランティアたちに対して何かを与える。

身体周りの世話はするけれど、
主人公鹿野とボラたちとの関係は対等な人間関係である。

一般的にイメージされる障碍者と介護側との関係とは違う、
あるべき新しい視点を与えてくれる作品。

主演の大泉洋と、ボランティア役の高畑充希両名の演技が抜群でした。


<以下、いくつかまとめ> ※ネタバレありです


■大泉洋の演じる主人公のキャラクターが秀逸
欲望を隠さずワガママ奔放にふるまう、一見クソ野郎な鹿野。
第一印象が最悪な彼が、実はとても人間らしく愛すべき人物であることがだんだんわかっていくストーリーがすばらしい。

■高畑充希の演じるヒロイン美咲がとても良い。
障碍者を献身的に支えるボランティアの美女...などというありきたりなキャラクターはこの作品には存在しない。
時に粗雑な言葉遣いをし、小さな嘘をついたり、感情的にキレたり、ブサイクな寝顔で寝落ちしたり、
ワガママ放題な鹿野と口論してブチ切れたり。

こういう知り合いいるわ、っていう、
どこにでもいそうな普通の女の子感がリアルでとても好感度高い。

■美咲のキャラを際立たせる医学生の田中。
昨年7月に亡くなってしまった三浦春馬さんが演じています。

一般的にイメージされる「障碍者を介護するボランティアさん」像を体現したキャラクターで、彼の存在が鹿野と美咲の関係を際立たせていてとてもよかった。
監督のインタビューによると、当初の設定では美咲がお嬢様で田中が奮闘する脚本だったらしい。逆にして正解だったと思う。

■時代設定
時代設定は1990年代前半頃。
相手に連絡するのに固定電話を使ったり、伝言を知人に頼んだりしているのが新鮮だった。
当時は携帯なんて普及してなかったからああいう時代だったんだなと。
こういう不便さが、人同士のつながりを濃くしていたのかもしれないなと思った。


【スコア】
★4.0で。
大泉洋主演映画は当たり率高いですね。
好感度抜群タレントの彼が、開始数分でクソ野郎の第一印象をもたせてくれるスタートは最高です。
感動要素もあるけれど、スタートは割とゆるく見られるオススメの一本。
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