Keitan

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話のKeitanのレビュー・感想・評価

2.7
『ポジティブな難病人とドタバタするのお話』

20191014 110
モデルとなった鹿野さんの実話は素晴らしいと思うが、映画としてはイマイチだった。大泉洋や高畑充希の演技は素晴らしいし難病物なのも分かっていたが、自分としてはあまり泣けなかった。

筋ジストロフィーという病気で20歳まで生きられないと言われていた鹿野さんが、病院の治療を飛び出し多くの人に助けられ、30歳過ぎてもボランティアと共に家族みたいに自宅療養で過ごす日々をつづった物語。映画で描かれる彼の生き方は尊敬するものがある。そこにボランティアとして三浦春馬と高畑充希がやって来たところから物語ははじまる。

当然、主人公の死は最初から約束され悲しい別れが待っているのは分かっている。でも彼のキャラクターは呆れるほどポジティブで生き方自体が喜劇のようである。映画自体も大泉洋のキャラクターに助けられコメディの側面も十分にある。

が、どこか演出がチグハグで、泣けそうな時に何故か泣けない。別に泣きたくて見ている訳ではないが観客の感情を上手くナビゲーションするのが映画というもの。悲劇と喜劇は表裏一体で、上手くハマれば最高のモチーフだと思うが、そこが生かされず残念。
そんな感動か欲しいと言うのは贅沢だろうか?
Keitan

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