せーじ

機動戦士ガンダムNTのせーじのレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダムNT(2018年製作の映画)
2.2
111本目。新宿ピカデリーで鑑賞。
初日ということもあり、夜の回までいい席が取れず、シアターに入ったら当然野郎共で満席。ただ、年齢層は思っていたよりも幅広かった気がする。

自分としては感動し、楽しく観ることが出来た、ガンダムUC(ユニコーン)の続編ということもあり、かなり期待して臨んだのだが、残念ながらその期待は脆くも裏切られてしまった。
というよりも、個人的には「宇宙世紀ガンダムシリーズ」のこれ以上の展開に、限界を感じてしまったかもしれない。

まずなんと言っても、平場の作画と演出が酷い。冒頭の子供時代の主人公たちが会話するくだりから、既に絵との違和感がありすぎて椅子からずり落ちそうになった。その後も、人物そのものの描写がモビルスーツの戦闘シーンがある場面とそれ以外の平場の場面とで雲泥の差があり、観ていて「サンライズなのに…ガンダムUCではこんなことは無かったはずなのに…」と思ってしまったり。
とはいえストーリーは、おそらく原作そのものの力がうまく働いていて、途中まではまだ面白く観ることが出来たのだが、UC以上に"サイコフレーム"や"サイコミュ"、つまり"ニュータイプの能力とされているもの"を全知全能なものとして描いているので(そのくせホントにヤバくなるまで誰も助けないので)どんどん情緒的な方向に話が進んでいくのがなんとも辛い。やっていることは、要は"鬼ごっこ"と"かくれんぼ"だし、そのくせオチと着地は、UCを含めた今まで観てきたガンダム作品と変わらない内容で終わってしまっているので、敵キャラのアイツじゃなくても「茶番か!」と言いたくなってしまう。
仕方がないこととはいえ、説明的なセリフが多いのも残念。

ただこの作品、UCと同じくらいの尺で細かな話のチューニングと練り上げを施し、そして作画レベルをUC並に引き上げることができたなら、たぶん感動できていた気がする。だが「若おかみは小学生!」や「リズと青い鳥」の様に、アニメーション映画でも限られた尺でとんでも無く面白い作品を作っているライバルがどんどん出てきているのに、天下のサンライズがこれっていうのは…。
そして"ニュータイプとは"ということについての結論を、これ以上先に進めたものに出来ないのならば、もうこの時代の宇宙世紀の話を弄るのは止めたほうがいいのではないだろうかとも思ってしまう。

ということでボロクソに書いてしまいましたが、過去作品の目配せは割と気が利いていたんじゃないかな、と思います。

エレベーターのボタン、酷かったな…
せーじ

せーじ