このレビューはネタバレを含みます
ニュータイプ能力がわかりやすく言語化されたことの良し悪しは置いておくとして、だからといってこれまで描写の力で科学的なハッタリをなんとかやってきたガンダムを、こういう形でイデオンやダンバインにしてしまっていいのだろうかという疑問はあって。
サイコミュだのサイコフレームだのというものをわざわざ用意したのは、行きすぎた科学技術は魔法のようにも見える的なSFとしての立ち位置の延長線上に踏み止まりつつどこまで冒険できるのかという試みだったのではないか思うので、富野由悠季自身がそこを踏み越えていくならまだしもとはどうしても考えてしまう。
どうやらまだユニコーンのシリーズは半ばのようなので、終わりまで見届けたときにこのフォロワーの二次創作を見させられているような感覚が肯定的なものに思えるようになっていればいいのだけれども。
ほかにも、回想が多いので作中の現代で起きた今回の出来事自体はどこかこじんまりとしたものに感じられてしまったり、またそのため上映時間的に主人公と今回の出来事で出会う登場人物たちとの関係性の描きこみが感覚として足りておらず、それをひっくり返すような工夫も見られないので、人物の言動が唐突に思えてしまったり、せっかく回想などで分厚くした主人公まわりにしても結局は涙目絶叫合戦に落ちていってしまったり、そも物語の面白さは悪役の魅力で決まる部分が多いのにあんなどこででも見られるような造形のものが放り込まれていたりと、モビルスーツの魅力に対してそうした残念な部分がちょっと買っちゃったといった感じ。偉そうに。
まあでも大きな画面で動くモビルスーツはやっぱり心躍るので、こうして新しいガンダムが劇場で見られるだけでもよかったのかなと。