みんと

モンパルナスの灯のみんとのレビュー・感想・評価

モンパルナスの灯(1958年製作の映画)
3.9
イタリアの画家アメデオ・モディリアーニの伝記的作品。

先ず、本人役ジェラール・フィリップがとんでもなく男前。そしてあの ダパダバダ~♪ のアヌーク・エーメがひたすら美しすぎた。

女性にモテ、アルコールに溺れ自堕落な生活を送っていたモディリアーニは画塾で出逢ったジャンヌと恋に落ちる。
類まれなる絵の才能に恵まれつつも世間からの評価は得られず、チャンスをものに出来ず…。そんな苦悩続きのモディリアーニの人生が静かながらも情熱を感じるストーリーで綴られる、、、

あらゆる場面で芸術家らしい名言の数々が殊更沁みる。芸術家ならではの、芸術家たらしめる特異な発想に納得させられる。

そもそも芸術家と言えば、売れない、貧乏、酒に溺れ女性にだらしなく破滅的など、ネガティブなイメージがついてまわるけれど、モディリアーニの人生はまさにそのイメージ通り。そしてそれは生前に1枚の絵しか売れず死後に有名になったゴッホともオーバーラップするところで。

亡くなってからこそ価値が上がる絵画の世界。劇中でも登場する“生きてる間は売れない”とはなんとも皮肉で惨いことだろう。ただ、神秘性が絵画と切っても切れないもののひとつだとしたら、それは死後にこそ顕になるのもわかる気がするなあ。

今作で良くも悪くも最もドラマ性(サスペンス性?)を持たせた画商の存在。死神のように付きまとうも、唯一絵の価値を理解した人物と言うのは何とも皮肉な話で。

そして人の心を全く感じられない利己的行動からの怒りと絶望感で締めくくられた“FIN“はとてつもなく印象に残るシーンだった。
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