ポップと水玉

モンパルナスの灯のポップと水玉のレビュー・感想・評価

モンパルナスの灯(1958年製作の映画)
4.0
ジャック・ベッケルに外れなしだなぁ。無邪気な俗物のアメリカ人金持ちより、絵の価値を分かっていながら買い時を待つモレルのような画商の方がずっとタチが悪い。あいつ本当に死神じゃねーか。妻のジャンヌも、モディが死んだ二日後に自殺してるんですね。なんという夫婦。モディの芸術家っぽい不器用な生き方はもどかしいけど、助けてやりたいと思わせる不思議な魅力がある。ジェラール・フィリップの上品さを失わない悲壮感が見事だった。ヤケになっても絵を描くことは止めないし、妻を思う心も残っている。現実と上手く折り合いが付けられない中で、生きるために酒場でスケッチを売り歩くような努力も見せる。ただの破滅的な人物でないところがいい。