グラビティボルト

モンパルナスの灯のグラビティボルトのレビュー・感想・評価

モンパルナスの灯(1958年製作の映画)
4.3
前に観た「穴」といい、ベッケルの映画はラストがやるせない。
ある意味ド頭のバーで画を書く場面が伏線になっているんだが、このシーンは見られるモデル、見る画家、
更にその画家を見る者という三者の関係を流麗に捉えている。
このカットによって、主人公の行う書くという行為が様々な視線に晒されるものなのだと仄めかす。
愛し合う事になるヒロインとある意味悪魔的な役割を負う商人は初登場シーンでは彼を後ろから見つめているのがとても気になる映画。
視線の映画として観ると終盤の画を売りに行く場面はとても哀しくて、彼は誰からも見向きもされない。
こうした切なさを彼のフラフラ歩くアクションに合わせて語っていてとても巧みだった。