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モンパルナスの灯のRのレビュー・感想・評価

モンパルナスの灯(1958年製作の映画)
4.9
ゴージャス!!! 貧しい話なのにこのゴージャスさ! 素晴らしい! 20世紀初頭のパリの画家モディリアーニの伝記映画なのだが、冒頭、事実に基づいてはいるが、かなり映画向けにアレンジされていると字幕が入る。モディリアーニについては名前と、ぼんやりした作品のイメージしかなかった。全く知らない人は、見る前にネットで有名な絵をいくつか見ておくとよいかもしれない。生前は画家として全く認められず、大変にロクデナシな人生を送って夭折した人物で、そんな彼の悲惨な生活が描かれていく。まず、金がない。誰も作品を理解してくれないので、絵が売れない。自分の才能に自信があるもんだから、現実とのギャップに苦しみ、酒に溺れていく。ところがどっこい、モディはめちゃくちゃのイケメン。実物がどうなのかは知らないが、演じてるジェラールフィリップがビックリするほどイケメン。役柄のせいか、本人の死の前年だからか、ちょっと枯れてる感じはあるものの、目が離せない気品と美しさ。なので、モテる、モテる。ベアトリクスという彼女ってか愛人?みたいな人がいて、モディろくでなしすぎてその人を殴り倒して気絶させたりするねんけど、ベアトリクスはそんなのまったく気にせず、ケロッとしてる。どーゆーことー。こんなにあらゆることにケロッとしてる人おらんやろ!ってなる。が、まぁ、あんだけイケメンやったら……しょうがな……やいやいや、ダメでしょ、さすがに笑 そんなへっちゃらな彼女が涙を流してるシーンがひとつだけあって、ハートにズッキューーーンときます。ベアトリクスはすごい美人ではありますが結構年いってて、街で偶然すれ違う若き美女とモディ、知り合いでもないのに突然惹かれ合って、絵画学校を通して、恋人関係になる。これがモディの運命の女ジャンヌ、演じるのが、こちらも同じ人間であることが信じ難いレベルの美人アヌークエーメ。いいとこのお嬢さんなのに、モディに恋したばっかりに、共に破滅の道を突き進んでしまう。ほんまに脇の脇の脇役に至るまで、パリには美男美女しかおらんのかい!ってツッコミたくなるほど美男美女ばかりなのに、主演二人の圧倒的な美貌と輝きと存在感のせいでそれら全員がフツーに見える。対比の不思議。しかし、この二人と同じくらい、否ひょっとしたらそれ以上にインパクトがあるのが、画商モレルを演じるリノヴァンチュラ。モディの才能をただ一人、理解していたにもかかわらず、そのことを誰にも告げず、恐ろしいまでの冷徹さでモディの破滅を見届ける。完全なる悪役なのだが、ボクはなぜか (ってか俳優がものすごイケメンなため?) 全然イヤな感じがしなくて不思議だった。悪役もここまで徹底してると逆にすごいな、と思ったのかもしれない。ラストショットはホントに衝撃的。しかも、見終わったあと、史実上起こったことを調べて、全身戦慄。すごい話や……。あと本作で非常に特徴的なのがカメラワークの素晴らしさ。すべてのシーンにおいて、しっかりカメラが話を紡いでいっていることを感じさせながら、これ見よがしなところが皆無、全ショットが惚れ惚れするほど完璧。こんな映画なかなか見れない気がする。というわけで、隅から隅までルックが極上。とことん残酷でダウナーな話なのに、すげー映画を見た興奮の方がまさって、ズーンとなるよりアッパーな気分で終わる、という、とてもいい経験をさせてくれる映画でした。ジャックベッケルは穴が最高傑作だと決めつけていたが、ひょっとすると何度か見るとこちらの方がもっと好きになるかもしれない。と思って探したら、激安のBlu-rayを発見、早速ゲットしましたー✌️わーいわーい。さて、ワタクシ、またひとつ歳を重ね、新たなる一年はかなり忙しくなりそう。けどちょこちょこ映画見れたらいいなーと思っちょります。
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