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アウト&アウトのminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

アウト&アウト(2018年製作の映画)
2.3

このレビューはネタバレを含みます

元ヤクザ幹部だった主人公は、今は探偵をしつつ幼い少女と暮らしていた。仕事の依頼を受けて待ち合わせ場所のドアを開けると、突然覆面の男に銃口を向けられる。依頼人は既に射殺されており、凶器の銃に犯人は主人公の指紋を残し、罪をなすりつけるため街中に捨てると告げる。主人公は被害者を調査し、覆面の男の正体とそのバックにいる国会議員が過去に起こした事件のことを突き止めるのだが…という話。

監督は「ビーバップハイスクール」などで知られる元漫画家のきうちかずひろ。今は小説家メインで活躍中のようで、僕はこの人が原作の映画「藁の楯」を観てきたこともあり、公開初日に鑑賞。客席はまばら。原作は未読。

内容以前に、映画の企画として致命的な欠陥のある作品。
主人公がヤクザを止めて探偵をしている理由や、一緒に暮らしどうやら固い絆で結ばれているらしい少女との関係性については明確な説明がほぼ無いので観ている側は戸惑ってしまう。それもそのはずで、本作の原作には実は前日譚の小説があり、主人公と少女が出会ったくだりはその小説で語られているらしい。つまりシリーズ2作目をいきなり映画化した作品ということ(遠藤憲一演じる男が主人公なのは2作目かららしい)。それなら、その前日譚の出会いの部分だけでも盛り込まないと単体映画として成立しないだろうに。おかげで観ている間ずっとモヤモヤしてしまった。
他にも、事件の全貌がなかなか見えないし、犯人たちが何のために行動してるのか理解しづらいし、巨悪であるはずの国会議員が小物にしか見えなくて全然話にひきこまれなかった。特に覆面男の迷走っぷりにはイライラさせられてしまった。
今どき珍しい探偵ハードボイルド調な作品でその雰囲気は好みだったし、主人公と少女のキャラクターも個性的で対話も微笑ましく良かっただけに、上述の問題点をきちんとクリアして作ればもっと楽しめたのではなかろうか。コンゲーム的な要素もアイデアは良かったし。
ただ、演出は全体的にダサい。この監督は原作か脚本書くのに注力したほうが良いのかもしれない…
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