きうちかずひろ監督リスペクト!
「待ち合わせの場所にいくと、依頼人の死体が転がっていた」もうこの冒頭部だけで、100点でしょう。いやマジで。
今のうるさい世の中ではみかけなくなった、それどころかドラマや映画でさえめったにみることができなくなった、怪しい裏の世界の人たちが跳梁跋扈する物語。ヤクザ屋さんに、殺し屋、情報屋。まさにアウトローな世界がたまらない作品です。
そのなかでも、やはり元ヤクザの探偵という主人公の矢能(遠藤憲一)が魅力的。元ヤクザだけにKsにはとことん厳しい。アウトローどころか、アウトな手も必要なら使うという美学。まさにタイトル通りアウト&アウトな危険な香り。
映画としては変に媚びない、サービスしすぎることもありません。もうちょっと遊んでもいいところを、グッと切り捨てて、直球のリズムがハードボイルドな空気を作り出していると言えるでしょう。
その空気を背負える遠藤憲一の演技はすばらしい。考えてみると、こういう役ができる人って他に何人もいるわけじゃないんですよね。最近は、すっかりいい人キャラが定着してきてますが、こういう姿がもっとみたいです。
新しいことを描いているのではなく、オールドスタイルのような作品です。しかしこの映画にあるのはとても魅力的な世界なのです。
小さな約束を大事に守る。卑怯なやつは許さない。自分の信念に基づいて行動する。こういうのに、いい歳したおっさんである自分は萌えるのです。
「時代がかわっても大切なことってあるんだよ」と言いたいことってありますよね。だけど、そういうのって自分が年取ったみたいで言うのって恥ずかしいんですよね。
しかし、きうちかずひろ監督は、見事なくらい時代に媚びず、おそらくはご自身が愛してやまない世界を映画にしてみせた。そこにはリスペクトしかありません。