"小説を読んでくれたあなたへ"
トルコの田舎出身で小説家志望の大学生が、教師なのにギャンブルで家庭を不意にしてしまった父親と向き合いながらこれからの人生を模索していく青春家族ドラマ。
監督はカンヌパルムドールを2回獲っているヌリビルゲジェイラン。
田舎出身で東京の文学部出の自分にとっては、主人公がまるで分身みたいな共感と不安でいっぱいな3時間だった苦笑
このまま普通の田舎者で終わりたくない!でも大成するにはイマイチ足りない。
行動力はあるけど、爪が甘くいま一歩足りない。
だから偏屈なイメージしか他人からは残らない。
そんな主人公が紡ぐ言葉や言動の一つ一つが青春の弱さを感じさせる。
憧れの作家にあれこれ質問をぶつけるシーンはウザイけどアツい。
親父が絶妙に小物。弁が立つんだか、だらしないんだかのらりくらり生きている。覇気の無いチョイ悪オヤジと表現すれば良いだろうか。
でもラストの語りは人生の真髄をついていて、物凄く密度の濃い世間話を聞いたような錯覚に陥った。
お昼寝中のアリの大群には同情します笑
田舎の人々の金のルーズさ、だけど成り立つ人間関係っていま思うと寛大で尊い。噂広まる割に制裁は無いわけで。それが都会には無い本当の優しさだと感じた苦笑
自費出版本ができてからの主人公の悲哀や不遇がリアルすぎて悶えた。
自分も趣味の小説を今年自費で出そうかなと構想していたのだが、現実を先取りされた気分です笑
自分と類似点が多かったせいか、映画を観てるというよりは、暮らしを見せられている感が強い作品でした。