kanko

読まれなかった小説のkankoのレビュー・感想・評価

読まれなかった小説(2018年製作の映画)
3.9
私はこの小説読んでみたかったな、と思った。

予告編で感じた印象とは全く違っていた。父親はギャンブルにのめり込んでしまっているダメな人なんだけど息子も中々のダメ人間。とにかく人に言葉を投げつけては絡む、作家志望だけあってこれがもううんざりとするくらい。

この映画の中では散々息子と誰かの会話劇が繰り広げられる。特に書店で出会った作家に対する絡み方はこちらがみていても相当酷かった。それでいて自分の書いた小説を読んで欲しいなんて…他にも偶然出会った同級生の女性、イスラム教教の導師、それぞれの会話がもういい加減にしたらどうなんだろうって思うのだけれどこれがちょっとクセになってくる。トルコで生きる人達の日常の中での慣習や問題であったり。

お金がなくなったり、電気が止められたり、犬がいなくなったり、家族という枠の中でのゴタゴタもあり、あー家族ってこう言うどうしようもないモヤモヤとやりきれない部分てあるよなって身につまされる。それはないじゃないお母さん って所もなんとなく分かる(笑)

父親がこだわる井戸掘りはなにを象徴しているのだろう。終盤に挟み込まれる映像に気持ちを驚かされる。

終わり方はけれど嫌いじゃなかった。半目し合ってても父と息子に同じ流れる何か。父親との会話からのラストに向けてこのために観てきたかのようなそんな気持ちにさせられた。
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