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読まれなかった小説のminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

読まれなかった小説(2018年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

大学を卒業した主人公は実家に戻り、書き上げたばかりの処女小説な出版を目論んでいた。一方、彼の父は地元で教師の任についており、息子にも同じ道を歩んでほしいと考えていた。だが、父はギャンブルや見込みのない事業のために借金を増やすというだらしない一面も持ちあわせていた。父に反発し、主人公は小説出版の支援者を探すことに奔走するのだが......という話。トルコ映画。「雪の轍」でカンヌ映画祭パルムドールを受賞したヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督作品。評判も良いので鑑賞。

芸術性は高いが、この内容で三時間とにかく長いと感じた作品。
哲学的な問答の対話劇のシーンが大半を占める作品で、父子の確執を描いて入るのだが、断絶するほど激しく喧嘩するわけでもなく、借金まみれの父を家族は生温かく見守っている。また、小説執筆の過程で主人公があらゆる人と問答を繰り広げるけれど、彼らの主張にあまり興味が持てなかった。まあ、そういうモヤモヤを三時間貯めこんだ後に訪れるラストシーンについては確かに静かで穏やかな気持ちになれたし、鑑賞後は心地よかった。結局息子も父と同じような人生を送ることを匂わせて終わる感じも良かった。
ただ、やはりこの結末に持って行くにしても長過ぎる。映画という媒体ではなくそれこそ小説の形のほうがこのテーマに合ってるのかもしれないと思った。
上着のポケットに大金入れたまま脱いではダメやで。
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