マクガフィン

ピア まちをつなぐもののマクガフィンのレビュー・感想・評価

ピア まちをつなぐもの(2019年製作の映画)
3.1
大学病院勤めの主人公の医師が、後継ぎで地方の町医者になる、虚無感や喪失感と青臭さのマッチさが良い。主人公が人やその関係性に触れることの成長譚で、大枠はシンプルで展開が読めやすいが、青臭い主人公と同時に在宅医療の問題点を理解したり、考えていくシークエンスが巧みに。中央と地方の対比にも。

一貫した大学病院とは違い、症状によって、かかりつけの病院とは別の病院にかかるときの弊害を、薬の効果の重複と多さで表すことにハッとさせられる。薬手帳は出てこなかったが、その大切さが分かることなど、在宅医療の現状を炙り出すことに。

主人公とケアマネの松本若菜のバディ的な関係や、会話の兼ね合いも良く、細かなエピソードの積み重ねが効果的で、人と人の繋がり大切さが切に伝わる。問題を押し付けないことや、過度にエモーションを振りかざさない抑えた演出や、一貫して、どんなに病気になろうと、人としての尊厳をキープし続けていることも心地よい。