全体的に実にフランスっぽい空気感の作品。
第1次世界大戦後のフランスを舞台に2人の帰還兵が企てた大胆な詐欺事件を描くクライムドラマ。
顔に重傷を負ってしまった良家の御曹司エドゥアール役に、「BPM ビート・パー・ミニット」で主人公ショーンを演じたナウエル・ペレ・ビスカヤー。
作品の舞台は、第一次世界大戦が休戦後の20世紀初頭のパリ。
パリの街並み、人々のファッション、そして小物に至るまで、当時の雰囲気が上手く映像に表れており、映像を観ているだけでも満足できるほど。
序盤は戦争シーンで始まるが、意外にも臨場感たっぷりの迫力のある戦争シーンに圧倒される。
中盤以降は、戦争で富を得た者と戦争で全てを失った二人(アルベールとエドゥアール)の闘いを描いている。
どことなくコメディで、ファンタジックで、戦争の勝利者を揶揄していたり、くるくると視点の変わる不思議な作品。
マスクを効果的に使ってエドゥアールの心情を表していたのはお見事。
当然だがエドゥアールを演じたナウエル・ペレ・ビスカヤーの演技力あっての賜物ですが。
特にクライマックスの父親との対峙シーンは素晴らしかった。
美しく高貴な仮面と様々な感情が入り混じったエドゥアールの瞳。
ナウエル・ペレ・ビスカヤーの見事な表現力でした。
ただアルベールに関わるラストだけが残念。
ベタ中のベタと言っても良い展開は余りにも捻りがなく、却って醒めてしまい勿体ない。