ハッピーアイスクリーム

天国でまた会おうのハッピーアイスクリームのレビュー・感想・評価

天国でまた会おう(2017年製作の映画)
3.9
1918年、休戦を目前にした西部戦線。爆撃により生き埋めにされたアルベールを救ったエドゥアールは顔に大きな傷を負う。なんとか生還するもエドゥアールは家族との再会を拒み、アルベールとともにパリで貧しい生活を送ることに。失った人生を取り戻すため、彼らは国を相手にある計画を企てる。

仮面の芸術家の数奇な運命

ピエール・ルメートルの原作を映画化したドラマ。主演のアルバート・デュポンテルが監督と脚本を手がけ、2018年にセザール賞で監督賞など5部門を受賞した。

映像や美術がとても美しかったです。
エドゥアールの作る仮面がどれも魅力的。
冒頭の戦争シーンの迫力も凄まじい。
全体を通してティム・バートンやギレルモ・デル・トロのような、どこかファンタジーで寓話的な物語でした。

天才的な芸術センスを持つエドゥアール。彼の繊細でゴーイングマイウェイなキャラが芸術家特有の性質を巧く描いていた。そんな自由に感じるままに生きることを望むアーティストにとっての、全てを奪った戦争と戦後の世界という描き方が良かった。
現実的で世間の厳しさを知るアルベールとの対比も面白い。途中から仲間に加わる少女も含めて3人とも生まれた境遇も年齢も違うところから絆を深めていくのが素敵だ。

"お前の言う通りだ
人は自由でなければならない"

"また 天国で"

才能溢れる芸術家というのは、いつも太く短い生涯を選ぶように思う。
彼らにとっての自由と幸福がなんなのかはわからないけど、その一瞬の煌めきに賭ける情熱は生きた証になる。

そしてその情熱と生き様を認めてもうこと。それだけで満たされる人生もあるんだろうと僕は思います。