ショウコ

天国でまた会おうのショウコのレビュー・感想・評価

天国でまた会おう(2017年製作の映画)
3.4
エドゥワールとアルベール…という名前(エド&アル)に鋼錬を思い出してニヤニヤ。
スーパー美術と、コミカルでお洒落な雰囲気を楽しむ映画…って感じ。ビジュアル100点お話50点ってところです

負傷しながらも生きて帰ってきた者にはロクな仕事も与えずボロボロ極貧生活を強いるのに、戦死した兵士は英雄として持て囃し大金をかけ記念碑まで建てる…。そんな、第一次大戦後のフランス社会を批判し皮肉に満ちた反逆を企てる2人の帰還兵のクライム冒険譚。ノリは軽めだけど反戦映画です

馬と一緒に生き埋めになりかけたショックでPTSDの逃避先が「馬」になっているアルべール。爆撃で下アゴを失い、芸術的おもしろマスクを日替わりで付けているエドゥワール。アゴが無いせいで声を出せないエドゥワールの唸り声を何故か翻訳できちゃうルイーズちゃん…。ともすれば変わり者とされてしまう彼等のキャラクターが愛をもって描かれており、イビツな会話のやり取りを眺めるだけで楽しい

構図とカメラワークが凝ってて飽きないし、年代考証もしっかりしてて安心して観てられますがほとんどCGって事に驚いた。グリーンバックで踊ってるメイキング映像を見て青ざめたわ😨もうセットとか要らないんですね。序盤の塹壕戦も悲惨で恐ろしくて…短いシーンだけど1917よりも強い恐怖に瞬間筋肉痛になった




ただ話はかなりバラバラで粗いです。あらすじに「本当の目的」と出ていますがそんなもんは無く、運命のイタズラでたまたま行きがけのドラマが生まれただけ。最初から偶然の一致が強引だし、原作に頼り切った「読んでたら分かるだろ?」的な説明不足が多く、因果が収束していく終盤はデキスギが過ぎてああぁ…

アイツの処遇も、痛快ではあるけれど媚びてんなーという印象。あちこちに「何となく良い映画を観た気分」になれるサービスと言うか…鼻につく計算が見えて困ったわ🧮当初は脚本にも噛んでいた原作者が「私の手を離れた」とわざわざ言ってるところを見るに、原作者も不満だったんじゃないかと勝手に想像した💭

じゃ小説はどうなんだ?と読んでみたところやっぱり細かい部分は「映画ばえ」の為にやや無理めな変更がされていた様です。エドゥワールの決着は映画の方が分かりやすくて良いと思う
ショウコ

ショウコ