モネの残した膨大な手紙を参照に、彼の生涯の一面を描くアート・オン・スクリーンのシリーズ。パリと各地方都市を行き来しながら住む場所の光を捉えた作品を描くさまや、一方で翌日住む場所にも困るほど生活に困窮している様子、またルノワールやドガ、マネなどとの交流が伺えます。私はなんとなく「印象 日の出」といった名作は、世間で印象派が評価され、自身の創作もノッている時期に制作されたのだと思い込んでいましたが、全然そんなことはなく、評価もお金もない時期だったということが印象的でした。パートナーや子供を連れている中生活に困っているにもかかわらず、自身の作風がブレずに追究されている様には驚かされます。手紙からはモネがどうしようもなくめんどくさい人間だということが伺えますが、その反面自身の創作には真っ直ぐ向き合いきった生涯だというところも伝わってきます。映像作品としては音楽もよく、モネの描いた風景と実際の風景が重ねられ、想像力がかきたてられます。アーティストとアートワークについて映像で触れるということの強みが生きていると感じました。