低予算をウリにする手口が汚い。
『of the dead』を語ろうなんざ、一億と二千年早い。
そもそも、低予算映画の良さというのはユーザーが鑑賞し、口コミで広がっていくようなものなのだ。
それを低予算ですが、こんな大作できました。是非、観てくださいね。
こんな低予算を盾にしたやり方は反吐が出る。
どんな映画だって予算は限られているし、わざと予算を抑えているわけではなくでき得る最善の形で作られている。
やりようによってはそれは当然、人件費等を省く事はできる。
とにかく何が言いたいかというと詐欺にも等しい行為という事。
内容自体はとても斬新で『ウォーム・ボディーズ』のように若干、意思を持ち続けている主人公が愛を求めて行動するという、取り分けゾンビの中でも珍しい部類に入る。
個人的にゾンビは生きた屍。
要は死んでいるというのが前提なので意思を持つという世界観には納得がいかない。
各々の死生観に及ぶところではあるが、ゾンビがゾンビ足り得るのは人間が必ず死ぬ生き物だからなのだ。
生と死の狭間の存在、ゾンビはその人なのにまるで違う。
動いているのに死んでいる。
「死んでいる人間を殺しても罪にはならない。」大変感銘を受けた作品『人魚の眠る家』のセリフ。
これを正にフィクションとして体現しているのがゾンビという存在。
ここに死んでも意識がある事を認めてしまったらそれは立派な殺人。
攻撃されたらやり返したとしても、正当防衛は適用されるかもしれないが殺人なのだ。
そういう意味では斬新さこそ目を見張ったものの、ルールとしてはなしだった。
内容も低予算で撮影したらこうなるよねというレベルでそこまでの驚きはなかったし、低予算にした意味も特になかった。