社会のダストダス

アースクエイクバードの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

アースクエイクバード(2019年製作の映画)
3.1
アリシア・ヴィキャンデルの可愛い日本語が堪能できる映画。
冒頭から目を引くのは、クレジットがそれぞれ英語と日本語で表記されること。1989年の日本が舞台で、バブル時代の豊かさがありつつもどこか冷たい雰囲気の東京、洋画で表現されることに謎の感動。

日本に住む外国人女性リリー(ライリー・キーオ)が行方不明になり、数日後に東京湾で遺体が発見される。東京で翻訳業をするルーシー(アリシア・ヴィキャンデル)はリリーに最後に会った人物として警察の聴取を受ける。ルーシーとリリーは日本人カメラマンの禎司(小林直己)をめぐって三角関係になっていた。

アリシア・ヴィキャンデルの演じるルーシーは日本に住んで長く、日本語が堪能という設定。考え方が日本人的で、作中ほかに登場する外国人との印象が違うのが面白い。ちゃんと日本語の台詞に合わせた違和感のない表情が凄い。
冒頭の小口刑事の失礼でウザい話し方に、ルーシーさんに正しい日本語を教えてもらえ!と感じること必至。
日本人カメラマン禎司と出会うシーンは、この男はどう見ても怪しいからやめておけと画面を叩いて警告したかった。

日本的なじめじめとした静かなサスペンス。冒頭に何が起こったか説明されるので、展開的には驚くようなことはないけど、日本の恋愛サスペンスっぽい不穏な空気が良い。自分を死を招く女と思っているルーシーの幸の薄さが拍車をかける。
物語的にフォーカスされるのは事件より彼女の過去のほうで、終盤日本語で過去を語るところは聞き入ってしまった。多分このシーンが一番の見所かと。