SatoshiFujiwara

鳥の歌のSatoshiFujiwaraのレビュー・感想・評価

鳥の歌(2008年製作の映画)
3.2
『騎士の名誉』ではまだこちらにも楽しむ余裕があったがこれはなかなかしんどい。無時間性増し増し、東方の三賢人も『騎士〜』以上に喋らないしロングで撮る場面が多いから何だかよく分からない(え、お前が合間合間に寝たから?)。マリアとヨセフも出るには出るが何だか面白みがない。個人的な認識では東方の三賢人はユーモラスというかお伽噺的な色彩を伴って表象されることが多いように思うがここではどうにも陰気臭い(但し3人並んで寝そべるシーンで押し合う場面は面白い)。

カナリア諸島とアイスランドで撮影されたというだだっ広い荒野、平野を親の仇かという位の長回しで延々と捉え、遠方の山肌や雲の影、昼夜の時間経過によって変転する光の加減の変化が観ている人間の視覚と脳髄をじわじわと刺激するが、もはや何を見てるのかすらよく分からなくなって来るこの感覚はなんだろう。別に実験映画ではないのだから映っているものが分からないということではないが、感覚がトリップさせられる感じと言えば良いのか。クスリをやったことはないがこんな感じなのかね。

カザルスの『鳥の歌』が終盤近くにカザルス自身の演奏(だろう)によって流されるが、この意味もよく分からない。イエス・キリスト誕生と東方の三賢人の有名な話をよくこんな辛気臭く妙なやり方で作品化したもんだと思うが(つーかド『騎士の名誉』でのドン・キホーテも基本この路線だったからこれがセラのやり口なんだろう)、アルベルト・セラは何を意図してこういう風に撮っているのか話を聞いてみたい気はする。