ウニ

マックイーン:モードの反逆児のウニのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

デビューからラストまでアレキサンダーマックイーンのコレクションが通して見れた。天才だった。瞬き忘れた。

ショーは、服を作るデザイナーと、ストーリーと世界観をビジュアルを含めて作ってアートの文脈の中にどう置くか考える脚本家みたいな人と、それらを演出するヘアメイクさんのチームで作っていることがわかって、なるほどでした。脚本家みたいな人がいるといないとでは大違いだわ。勉強になりました。

あと、パトロンのグローバル企業のモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン社長の発言「キミという馬に賭けたよ」が、ビビりました。ファッションも資本家の投機対象。ファッション産業の馬車馬!のちに、やや緩めのGUCCIグループに乗り換えられてホッとしましたけど、やっぱりきつかったようですね。芸術家とパトロンという視点でも興味深かった。生涯雇用なし、デザイナーも使い捨てとは、パトロンさん懐狭いわー。金持ちの道楽なら面倒みたげてー。初期の本当にあなたの才能が好きだからお金出すわ的どこかのイギリス貴族パトロンさんだと、財力的にパリコレデビューできませんし、悩ましいです。

しかし、一貫して、無から圧倒的な何かを自分の中から発想し続けるつらみが、修行僧レベル。一度たりとも失敗してないし、どんどん深まってるし。

サヴィル・ロウからスタートしてきっちりスーツの仕立てを身につけ、立体構築してるデザイナーとかロメオジリさんにも弟子入り。若いときに身につけた確固とした技術。そして90年代クラブ文化とスタッフワークと洋服命のパトロンお姉様など周りの力もあったけど、あの切り口が、ご自身の中から湧き出たと思うと、凄い。仕事がめっちゃ好きだったマックイーンさんー。

ケイトモスさんのホログラム、ロボットと絡むホワイトドレス、ジバンシーの金と白オマージュシリーズ、精神病院シリーズ、車に火がついたコレクション、全部エモかった。

ショー会場を出たときに、怒り狂うか感激するか、どっちかじゃないといけないんだ。ファッションは心を動かすものであるべき。的なことをおっしゃってて、カッケー。

人間は論理でなく感情で生きている。その感情を動かす服とは、混沌不条理な世の中を生きていく力になるのかも。服に耽溺するロマン、祈りと救済。
帰りに服買ってもーた。たのひー。
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