ベンジャミンサムナー

アラジンのベンジャミンサムナーのレビュー・感想・評価

アラジン(2019年製作の映画)
2.5
アニメの『アラジン』は″ディズニープリンセス物″の中でもトップクラスに好きだが、やはり一連のディズニーの実写化作品は好きになれん。

ディズニーのアニメーターであるトム・バンクロフト氏が著した『長く愛されるキャラクターデザインの秘密』や『キャラクターに生命を与える技術』という本を読むと、
「一つのキャラを作るのに何百枚もスケッチをすること」
「動物のキャラを描く場合は、その生き物の骨格を完全に理解した上で簡略的かつ魅力的なデザインに練り上げる」
等、ディズニーで長年培われてきたキャラクターデザインと表現のノウハウが分かる。

そういった試行錯誤の上に生まれたキャラクター達を写実的なCGに落とし込む事は、先人のディズニーアニメーターの研鑽された技術の否定に思えてならない。

『アラジン』を象徴する場面と言えば、「ホールニューワールド」のシーンだが、アニメ版では空中で一回転したり鳥や馬の群れと並走したりしてた。
だが本作の場合、主演の二人は美男美女な上に歌も上手いが、画面は暗いしアニメほど伸び伸びとした表現でないのでシーンとしての高揚感が今一つ。

ジーニーにしても、ウィル・スミス自体は悪くないが、やはりこちらもアニメ版ではシュワちゃんやジャックニコルソン等の実在の著名人の顔にコロコロ切り替わったりする型破りで自由なジーニーの挙動が本作の見所の一つだが、そこも本作は垢抜けないというか堅く感じる。

手描きアニメは決して「CG技術が発展するまでの代用品」ではない。
手描きアニメでしか表現できないものを追求してきたのがディズニーなのに…。