4747

七つの会議の4747のレビュー・感想・評価

七つの会議(2018年製作の映画)
3.8
緊迫した会議室。原島(及川光博)は壁にかかった時計を見ながら「あと5分であいつがやってくる…」と胃をキリキリと痛める。
中堅メーカー、東京建電の営業二課、課長である原島はこれから始まる営業報告会議に向けて、大きなストレスを感じている。それもそのはず、彼が率いる営業二課は数十期連続のノルマ未達。一方、坂戸(片岡愛之助)が率いる花の営業二課は35期連続のノルマ達成。自分が今日も男、鬼の北川(香川照之)に絞られるのは目に見えているからだ。
時計定刻の9:00になると同時に北川、そして副社長が会議室に入り、一気に緊張感が高まる。
そんな中、呑気に居眠りをする男がいる。50歳平社員の八角(野村萬斎)である…。

池井戸潤原作の日本企業の不正、隠蔽を扱った作品。
ストーリーと伏線がわかりやすく見ていて気持ちがいい。流石、売れっ子作家である。

豪華な俳優陣も良かった。野村萬斎の演技はもはや歌舞伎であるが、変人役の八角にはぴったりであった。また、香川照之お得意の悔しさに全身を震わせる演技は笑ってしまうが、流石の一言。
事務員役の朝倉あきはめちゃくちゃ可愛かった。

最後の野村萬斎の独白は観客に向けてのものだったが、まさにその通りだと感じた。映画の中では誇張されている部分も多いが、小さな不正なら誰もが行っているし、なくなることは無いだろう。問題はそれを見抜く仕組みと悪い事だと認識させる風土作りだと思う。
労働市場が流動化することで、社員一人一人のパワーが高まり、不正やパワハラ、過労などの問題が少しでも是正することを願いたい。

ややネタバレです。

本名の八角(やすみ=休み)とあだ名の八角(はっかく=発覚)というダブルミーニングは面白い。映画だと意識しないが、小説家ならではの技法だと感じた。
4747

4747