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七つの会議のmatchypotterのレビュー・感想・評価

七つの会議(2018年製作の映画)
4.1
池井戸原作、そりゃ間違いない。
池井戸さんの原作を何冊か読んで思ったことは、活字でキャラが立ってること。
それも、1人や2人ではなく、ほぼ全ての人が。だから、映画にした時は大変だと思う。キャラが立ってて関係者が多くて、かなり多地点で描かれて、登場人物が色んな意図と解釈で1つのテーマや事件の中を奔走する。

善悪で描かれるとこもあれば、どっちも正義を主張してることもある。
だから、話として、映画として面白く描くためには手抜きするところが余りに少ないんじゃないか、と思う。ある意味、誰も彼も平等に、あまりどっちかに寄せずに描かないと成りたい方向に話を進められない。

映画のキャストを見てもそう思う。
ちょっとした一言を発した人物や最初に失脚したり姿をくらます人が後から効いてくる。
今回もそう。これまで池井戸作品のオールスターと言わんばかりに、映画としては出番が少ない、画面にちょっとしか出ない人がとんでもない役者。もったいない!と思いつつ、それが無いと十分なゴールに行き着けない。
逆にこのメンバー過多の状態をどう料理できるのか、料理しないと映画の成功はない!という作り手のプレッシャーすら感じてしまいそうな、池井戸節、炸裂。

香川さん、萬斎さん、ミッチー、あの陸王のコーチの人、北王路欣也さん、勝村さん、世良さん、橋爪さん、演技指導みたいなものがなかったとしてもなし得るであろう、あの不自然なほどの顔芸を自然にキメて、全てを薙ぎ倒して納得させるパワー。まるで水戸黄門の印籠が如く。

要所要所、一瞬しか出番がないチョイ役なのに、やたらと存在感を残すというある意味1番難しい役どころの小泉さん、溝端くん、吉田さん、土屋太鳳ちゃん。まるでサブリミナル効果の如く。

池井戸×大企業×陰謀×組織体制×豪華キャスト×顔芸、もはや死角なし。
強いて言うなら、今回はそこまで銀行や行政臭がしないのと、香川さんのスタンスが意外。

この居眠り八角の性格と行動も妙に謎めいてるから引き込まれながら、半ばギャグかと言いたくなるようなインパクト重視の印籠を期待しながら、とても楽しめた2時間。

邦画で、アクションでもSFでも無く、俺らが働いてるような1企業の会社の中の出来事の話なのに、何でかハラハラドキドキする。
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