Daiki

七つの会議のDaikiのレビュー・感想・評価

七つの会議(2018年製作の映画)
4.2
2019年公開映画45本目。

今世紀最大の顔芸合戦。

本作は伝統芸能の関係者が多い。
主役の野村萬斎は狂言、ライバル役の香川照之は歌舞伎、片岡愛之助も歌舞伎、その他落語からは立川談春に春風亭昇太、北大路欣也の父親である市川右太衛門も元々は歌舞伎役者だ。
これだけ登場人物が絡むドラマを、きっちり整理し、緊張感のあるものにしている手腕は素晴らしい。
どのように物語が進むのか序盤は全く見えず、ミステリー調になっており、エンターテイメントして良く仕上がっている。
テレビドラマで数多くの池井戸潤原作作品を手がけている福澤克雄監督だけに、同じ原作者の映画でも手馴れていた。

予告の時から思っていたが、何と言っても一番の特徴は表情。
「半沢直樹」でも表情合戦はあったが、日本企業は焦った顔、怒った顔、悔しい顔はつきもので、表情がかなり重要になってくる。
本作で面白いと感じたのは「話し方」。
野村萬斎のひょうきんな話し方、香川照之の唸るような話し方、一番面白いのは及川光博のナレーション。
これが何とも良い間合いで、さらに言い回しとその頼りない表情が相待って、だがやはりどこか落語的で、日本らしさも出ていた。
そして、終盤で出てくる悪者たちの、如何にも悪者だろと言わんばかりの表情はまさに歌舞伎だった。

冒頭から会議での過剰なノルマに対する叱咤、叱責が効果的で、結果のみを求める成果主義の慣れの果てに繋がるシークエンスが上手い。
モラルよりも組織の利益が優先するブラック企業の実態や、個人の仕事や組織に対する国民気質が炙り出される丁寧な積み重ねにより、リコール問題に発展し、隠蔽体質に繋がる説得力になる。
サラリーマンや組織の中の悲壮、弱者な声は届きにくい世の中に対するアイロニー。
強きを挫き、転覆させる爽快感はあるが、それでも本当のトップを転覆するまでは至らぬことが現実的のようで、後味が何とも言えない作品だった。