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七つの会議のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

七つの会議(2018年製作の映画)
4.8
都内にある中堅メーカー・東京建電。営業一課の万年係長・八角民夫(野村萬斎)はどこの会社にもいる、所謂“ぐうたら社員”。
トップセールスマンである課長の坂戸宣彦(片岡愛之助)からはその怠惰ぶりを叱責されるが、ノルマも最低限しか果たさず、定例の営業会議では傍観しているのみ。絶対的な存在の営業部長・北川誠(香川照之)が進める結果主義の方針の元で部員が寝る間を惜しんで働く中、一人飄々と日々を送っていた。
ある日突然、社内で起こった坂戸のパワハラ騒動。そして、下された異動処分。訴えた当事者は年上の部下、八角だった。北川の信頼も厚いエース・坂戸に対するパワハラ委員会の不可解な裁定に揺れる社員たち。
そんな中、万年二番手に甘んじてきた原島万二(及川光博)が新課長として着任する。会社の“顔”である一課で、成績を上げられず場違いにすら感じる原島。
かねてから犬猿の中の営業部と経理部。経理部長は、営業部の足を引っ張るため、坂戸をパワハラで訴えて左遷させた張本人である八角に目をつけて周辺を探り始めた。坂戸が第1営業部課長の時にベンチャー企業トーメイテックにネジの注文していたのが、原島課長になってから営業担当者の八角が老舗企業のねじ六に注文先を変えていた。そのことに癒着の匂いを感じた経理部長は、会議でこのことをやり玉にあげるが、北川は何故かあからさまに八角を庇った。八角の秘密を探ろうとした者たちは、何故か左遷されたり口を塞がれる。
そのことを怪しく思う原島は、独自に八角のことを調べ始めた。徐々に明らかになる八角と北川の関係。かつては敏腕営業マンだった八角が、ぐうたら社員に変わった理由、それには自分たちが仕えてきた会社の闇があった。
誰しもが経験するサラリーマンとしての戦いと葛藤。
だが、そこには想像を絶する秘密と闇が隠されていた……。
池井戸潤の小説を映画化。
池井戸潤作品の主人公は、半沢直樹や花咲舞など猛烈サラリーマンが多いけど、今回の主人公の八角民夫は最初ぐうたら社員として登場する。それどころか、営業の担当先からマージンをせびっているかもと企業と癒着していると疑われるグレーなところがあるユニークな主人公。しかも数年前は、人事査定でAランクをつけられていた敏腕営業マンだった。そんな八角が、何故ぐうたら社員になったのか?そして八角を、北川営業部部長が庇うのかを、八島課長と浜本優衣の目線から探っていく企業サスペンスミステリー。八角の秘密を知った八島課長と浜本優衣と八角が、企業の不正を明らかにすることにより企業の利益追求のために手を汚させ使い捨てにされた人間を救うべく奔走する後半は、まさに池井戸潤作品の定番だが、クライマックスの御前会議そしてエンドロールで八角が語る「企業の正義」そして「企業による不正や隠蔽がなかなかなくならない理由」はゾッとさせられ、飄々とした中に強い信念を感じさせる野村萬斎、香川照之や片岡愛之助の重厚な演技とコミカルな及川光博の好対照な演技合戦に、大満足の社会派サスペンス映画。
「見て見ぬふりしてきたお前と俺のどっちが罪が重いんだろうな」