60年代ロンドンカルチャーのすごいのは、いま見ても新しいことかと。ファッションはもちろん、音楽もアートも。ものすごい勢いでそれまでにないものが生まれ、市民権を得ていった。その主な担い手だった若者が大人になると同時に(奇しくもビートルズの終焉と時期を同じくして)彼らのジェネレーションは消えていくのだが、しかしそのカミソリのような鋭さは形を変えて確実に後世に引き継がれていく。
そのカルチャーの発生源がロンドンだったというのが頷ける。覆したい階層と、塗り替えたい灰色の街があった。実はアメリカよりも自由に飢えていた国。海賊ラジオ局はそのまんま『パイレーツ・ロック』だし。抑圧するほど抜け道が盛んになるのはいつの世もどの国も一緒。
個人的にはこの頃のミューズだった女性たちの天使的なルックスが好き。本作に登場するマリアンヌ・フェイスフルや、パティ・ボイドなど。切ないほどオリジナル。あとヌレエフがちょっと出てきたのが嬉しかった。
さて反抗すべき枠組みや階級がない私たちは、一体どこへ向かうのでしょうか。