このレビューはネタバレを含みます
No.3429
『居場所のない世界を居場所とする覚悟』
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素晴らしい。
確かにテンポは良くないし、このゆるーい感じで2時間弱はちょっとしんどいところもあるけれども、
僕は柳楽さんのお芝居が大好きなので、全然苦ではありませんでした。
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どこが山場かというと、当然ラストのシンイチの行動(真実の告白)になるわけだが、
果たして、ここをクライマックスに持っていくための布石が、要所要所に的確に打たれているのかというと、そこは、小林、柳楽、また YOUNG DAISの演技に頼っているところが大きいと思う。
その上で、最も分かりやすい布石が、ラストの直前で、シンイチが茶髪から黒髪に「染め直して」、元の「芦沢光」として人生をやり直す決意を固めるシーン。
ここはいいシーン。
この、染め直しているときのシンイチの目が力強い。
明らかに意思を持って、「主体的に」髪の色を戻している。
だから、ラストで、彼は木工所を「逃げた」のではなく、
「ケジメをつけるために立ち去った」のである。
それは敗北ではなく、新たな居場所を求めるためのリスタート、
だから「夜明け」なのである。