よしおスタンダード

夜明けのよしおスタンダードのネタバレレビュー・内容・結末

夜明け(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

No.3429

『居場所のない世界を居場所とする覚悟』

=====================

素晴らしい。

確かにテンポは良くないし、このゆるーい感じで2時間弱はちょっとしんどいところもあるけれども、

僕は柳楽さんのお芝居が大好きなので、全然苦ではありませんでした。

===================

どこが山場かというと、当然ラストのシンイチの行動(真実の告白)になるわけだが、

果たして、ここをクライマックスに持っていくための布石が、要所要所に的確に打たれているのかというと、そこは、小林、柳楽、また YOUNG DAISの演技に頼っているところが大きいと思う。

その上で、最も分かりやすい布石が、ラストの直前で、シンイチが茶髪から黒髪に「染め直して」、元の「芦沢光」として人生をやり直す決意を固めるシーン。

ここはいいシーン。

この、染め直しているときのシンイチの目が力強い。
明らかに意思を持って、「主体的に」髪の色を戻している。

だから、ラストで、彼は木工所を「逃げた」のではなく、

「ケジメをつけるために立ち去った」のである。

それは敗北ではなく、新たな居場所を求めるためのリスタート、

だから「夜明け」なのである。