砂米

天使のたまごの砂米のネタバレレビュー・内容・結末

天使のたまご(1985年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

世界観が独特で素敵だった。
聖書読んでれば良かったなと初めて思いました。

空を浮いている巨大な真っ黒い球体(64のカービィに出てくるラスボス0²に似てる)の正体が巨大な街だったことにラストで気付き驚きました。あれはルドンモチーフなのかな。
冒頭に、しっかり球体出てきたのに気付かず…笑
それも球体の外側も詳細に描かれてたし。
無数にびっしりと隊列してる兵隊や、外に向かって伸びてる枝にも兵隊が生えてるように並んでる。
しかし、あの一本の枝に人みたいなものが生えてる様子は歴史の教科書に載ってる空也上人像しか浮かんでこなかった。
最初見た時、兵隊というより仏像とか如来様が鎮座してるような厳かな感じがしたんですよね。月から来ました!みたいな。

冒頭で勘付くことができなかったので女の子が駆け回ってた街は、球体が降り立った知らない街で彼女は転々と色んな場所を巡ってるのかなと思ってました。
それがまさかあの球体自体が街だったとは…いやはや。目みたいな青い部分は教会のステンドグラスだと思いたい。
ということは溢れ続ける水は海水だったのかな。だから男の人は水を飲まなかったのかな。

兵隊の像が陽が落ちると動き出し、夜な夜な捕まれられない影の魚(鯨みたいな)を追い続けるアイディアが素敵でした。
兵隊は剣や槍を持ってるイメージなので、銛を持ってるのが面白い〜

女の子が寝ぐらにしてる辺りが古代遺跡だった。押井さんの廃墟の街は良いものでした。
街の通りをガタゴト走ってた真っ赤な伊勢海老みたいなものは戦車でしょうか。
ラストで海から上がってきた球体の風圧で男の人の周りを真っ白な鳥の羽根が舞い上がってて綺麗

天野さんがキャラデザした女の子と男の人は雰囲気があって、どちらも何かあるような後ろ暗さを感じました。
男の人は白髪色黒で声も格好良かった。
鳥の話をしてたのに急に長々と哲学めいた難しい独白をした時は押井さんを一番強く感じられました。
女の子は髪に生気が感じられず老熟した印象も受けました。
苦言で申し訳ないのですがトワイライトQや劇場パト1のノアちゃん、人狼など女の子の声がどうしても苦手です。押井作品じゃなければ全く違和感は覚えないのですが顔と一致しなくて違和感が拭えません。あくまで個人的な意見です。

ストーリーの言わんとすることを理解するのは難かったけど雰囲気作品は好きなので楽しめました。ただ、一枚の絵で長時間持たせるのは少々キツい。テンポもほんとうにゆっくり。
大丈夫な人は、なかむらたかしの『パルムの樹』を推薦したいです。すごい作品なので。

音楽がとても素敵でした。この方に頼んだ押井さんGJです。ピアノが上手かったら弾きたくなる綺麗なメロディー。

作画に若おかみは小学生!の高坂希太郎さん、エヴァの貞本さんがいてびっくりです。

ラストシーンの、海と街が引きでどんどん小さくなって星の形が分かったけど、ひしゃげた牛乳瓶のフタみたいな変わった形で戸惑いました。なんなんだろうあの形は。
砂米

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