きよこ

初恋のきよこのレビュー・感想・評価

初恋(2006年製作の映画)
3.3
「心の傷に時効などない」

あの頃の若者達は何に枯渇し、何に抗い、何に憤っていたのか?学生運動の最中で、不遇な星のもとに生まれて愛も感情も失った少女。jazzbar「B 」に集う仲間達。そのなかのある東大生の静かなそしてミステリアスな雰囲気に想いをよせていく「初恋」。しかし、彼は自己の正義と復讐に彼女を巻き込んでいく。

主要な役者以外は顔を意識的に出さないカット割。想像をかきたてる素晴らしい演出だった。想いながらも結ばれない恋は、いずれ心を縛り付け支配する、そして支配されるだろう。

誰にでも心の中に秘めた想いがある。押し潰されそうになった日々があるだろう。でもそれは、戻りたいけど…戻ったらいけない場所であってほしい。今まで選んだ道を後悔したくないし、誇りに思いたいから。

前衛的でシュールな作品だったし、エンドロールの演出は好きだったけど、学生運動の個人を掘り下げてはいなかったから、あまり感情移入できなかったのが残念。ちょい辛めの点数になりました(ー_ー;)
きよこ

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