Melko

Diner ダイナーのMelkoのレビュー・感想・評価

Diner ダイナー(2019年製作の映画)
3.6
ところどころ良かったのに…もったいない映画。
原作未読。
アマプラ漁ってたらたまたま見つけて、そう言えば公開当時話題になってたなあ、と思い、鑑賞。

例によって藤原竜也は演技が大仰で台詞回しがクドイが、今作では、いつものテンションを7割程度に抑えており、「あれ?こうゆう演技もできるんじゃない!」という新たな発見。彼も歳を重ねたと言うことなのか。特に終盤、水攻めにあう南のボスを見る「うわぁ〜…」という表情とか、「逃げんじゃねえぞ」と肩越しに言う流し目とか、彼の代名詞(?)であるテンション演技を封印し、顔だけで演じることもできるじゃないか!と思わせる新たな面を発見できた。カイジでは胃もたれしたから…わたし…
また、モデル出身の主演 玉城ティナの演技もなかなか良かった。美人なのに底知れぬ闇と孤独を抱えた感じ、リアルなセリフのテンション等、ひ弱な演技が9割だったが、それが「強」の藤原竜也と良い感じにマッチしていた。彼に「強」をぶつけると相殺されて何も残らなくなってしまうから…特に冒頭の口上が印象的。あそこでグッと引き込まれて一気に見たので、見せ方、セリフ回し等良い感じに機能していたと思う。

個人的MVPは本郷奏多!!
出てきた時誰か分からず、「誰だこの気持ち悪い男…」と思ってたら、まさかの!
端正な顔立ちをクシャクシャにしながらバッサバッサ人を殺し、狂気の雄叫びを挙げるその姿は、本郷奏多の本領発揮といったところ。
負けず劣らず窪田正孝もいい演技。バッキバキに割れた腹筋に思わず目がいく…抑えた言い回し、壊れる演技、なかなか良かったが、本郷奏多のインパクトには残念ながら自分の中では及ばず。

と、若手たちが奮闘し個性を爆発させる一方、それと交代で出るかのように終盤で次々投入されるベテランたち。…なのだが、なんか作品の雰囲気にマッチしないと言うか、それぞれの芝居がお互いに合ってない感じがしてチグハグな印象。結果、急にかかったアクセルでとっ散らかって終わる。まあ、最終決戦の相手は、まあ、そうでしょうね。ぴったりの配役。

原作を読んでないので何とも言えないが、この映画を見ただけでは色々と「?」が残る。無駄なセリフの言い合いが多い反面、釈然としない感じなので、この点数。
もっと殺し合いの場面があるかと思いきや、殺し「合い」ではなくて、騙し討ちや追う追われだったのも、なんだかなあポイント。
あと、ぜっっったい要らないキスシーンの分もマイナス…せっかく気分が引き込まれてたのに、あのシーンとその直後のセリフでシラけたわ…

ただ、色彩だけで「○○が撮った映画っぽい」と、撮った監督を知らずに連想できてしまうあたり、さくらんやヘルタースケルター等違うテーマの映画を撮っても一貫した色彩感覚で挑む蜷川実花は凄いと思った。役者の演出は別にして…

この映画で伝えたかったことは、そう
想像力のない者は、死ね。
Melko

Melko