きゅうげん

Diner ダイナーのきゅうげんのネタバレレビュー・内容・結末

Diner ダイナー(2019年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

原作・平山夢明×監督・蜷川実花!
横尾忠則を招聘した美術は流石の美的センスが大炸裂。
アクションも食べ物も撮り方バッチリで、遊び心あるセットも(「個室だとダイナーじゃないじゃん」というツッコミは置いといて)各キャラを引き立てるロケーションになってます。
導入や佳境の込みいった内容も映像でサラッと説明し、画作りの実力を再確認。
血飛沫の代わりに花吹雪ってのが、陳腐だけどやっぱお洒落。あとパロディシーンもほほえましい。

……ところが、人物造形や物語構図をシンプルにするための後半(とくにスキン死後)の大改変は、作品の規模感までも矮小化しています。
原作にある濃厚な性と死の匂いは意識的に消臭されており、それに伴って権力抗争とか組織腐敗とかの裏社会らしい緊張感も半減。なにより、オオバカナコの典型的な“悲劇のヒロイン”キャラ変は残念。
原作にある「みんな狂人の殺し屋だけど、社会的には主人公もまぁまぁクズ」感が、シチュエーションの生々しさを下支えしてたように思います。
クライマックスのキスシーンや、再会できちゃった後日譚などの、いかにも「TVが作った映画」感にも閉口です。

ただ画的な煌びやかさとか、かなり頑張ってるCGとか前評判以上に楽しめました。
ただ、今は亡きボスって……蜷川パパじゃん!
主要登場人物に家族のトラウマを背負わせたのも、そういうこと?