Ricola

アレックス・ストレンジラブのRicolaのレビュー・感想・評価

3.6
高校生のアレックス・トゥルーラブは動物オタクで生徒会長。それに趣味の合う素敵なガールフレンドもいる。
だけど偶然パーティーで出会ったエリオットが心の底では気になっている…。

彼にとっては「ストレンジ」ラブに感じたかもしれないけれど、果たして本当にそうなのだろうか?


手書き風スタンプが感情の動きやトキメキを表したり、インスタのハートが溢れ出すようなポップな演出によるオープニングなど、現代の青春映画らしい要素に溢れている。

また、幻想を生き生きとかわいらしくアニメーションで描いたり、現実と同じようにそれを見出すなどの演出も目立つ。
特に印象に残ったのが、アレックスが自分の気持ちに戸惑っているときに、ヘテロやゲイなどの言葉に変形して見えるシリアルのパッケージに目を疑うシーン。
彼の動揺っぷりがわかりやすく描かれている。

アレックスが自分の殻を破れなくてつい相手を傷つける言葉を放ってしまう。
そのカッコ悪さの裏には、アレックス自身の心の傷もあるのだ。
傷ついたらやけくそ気味にホモソーシャルな結びつきに逃げてしまうのも、自己防衛的な反応のように思えた。

アレックスの葛藤ぶりは細やかに描かれていたが、彼の心の傷の根源が登場するのが少し唐突であったり、あまりエリオットの心情が描かれ切れていないように感じた。
しかし、自分の心と向き合うアレックスを通して、「誰を愛するのも自由」だという現代らしいメッセージ性が、あまり重すぎずに貫かれていてよかった。
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