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プライベート・ライフのとぽとぽのレビュー・感想・評価

プライベート・ライフ(2018年製作の映画)
4.0
"I am sure I get a raw deal from life." A Gift of LIFE ーーーー まさしくタイトル通り、極々私的な人生は複雑で波乱に満ちてる"感情失禁"。本当の本当に賢く知的なタマラ・ジェンキンス監督×ポール・ジアマッティ×キャスリン・ハーン、中年カップルの不妊治療は善人に降りかかる災難というか課題というか。その"火の粉"は命を育むことの大変さを日常レベルに当てはめて教えてくれる、全然普通でも当たり前でもないと。明け透けにテンポが絶妙でシュールに悲喜こもごも。木漏れ日の射すような柔らかな映像の質感のなかで繰り広げられる衝突とウディ・アレンが描くみたいな都会の男女の理想より現実。ここに出てくる街並みや服の茶色系な色合いみたいな等身大で自然体な知的な人々寄りのシティライフ(キャピキャピしていないけど度々神経質?)。だから作品全体がアートのようにお洒落な空気感を纏ってはいるのだけど決してそれだけじゃない。居候が転がり込んできたことで部外者の視点からそれがより際立つ、加齢と若さ。友達みたいな疑似家族、まさしく"未知の領域"。そうこうしてる間に無惨にも淡々と時は過ぎていき残り時間は減ってくみたい。そこに更年期で神経質のオンパレードまで合わさって、時に気まずくなって感情的になって感情剥き出し。優しく温かな眼差しにスマートなユーモアを交えていて、独特な語り口と切り口で秀逸な洞察・考察と何より人生愛に満ちている。義務感という愛情が空回りする時もある。浮き足立つことなく現実から目を逸らさないように如何なる時も正面から捉えるカメラと演出で機微の掬い取り方が本当に良い。そんな見事な作家性が陽気な医者等癖のある周りの人たちと関わる人生模様に寄り添い不器用な心の隙間を縫っていく。最後がぐうの音も出ないほど素晴らしい余韻。

「二人で決めたはずよ、サイエンスフィクションの領域には踏み込まないと!」トリックオアトリート「誰もが祝日(ハロウィン)を祝うわけじゃない、去年も無視された」"It's a whole fantasy."「現実離れしてる」「歳取ってくばかりだから」「会社名は卵プロダクション」「副作用で情緒不安定になる、"感情失禁"」「自信を無くした私をアーティスト扱いしてくれて」「ママは作家でもないし娘が巣立てば何もない。何でそう悲観的なの!」「奇妙には慣れてる」「不妊の原因はフェミニズムじゃない」「まるで演劇のようだ」「ぺニスで窒息とか、空想小説でも」"My niece is not a chicken!"「娘に世界一退屈な仕事だと言われた、毎日人を眠らせる」「排卵誘発材を増やしたの」「でも失敗して嬉しいよ。残酷だが本音だ、ホッとした。もう子供は欲しくない、人生が欲しい。結婚生活が台無しだ。僕は夫じゃなく君の尻に注射をうつ男だ。セックスレスだ」芸術家村「環境問題は深刻だ」
TOMATOMETER94 AUDIENCE90
Critic Consensus: Private Life uses one couple's bumpy journey to take an affecting look at an easily identifiable - and too rarely dramatized - rite of adult passage.
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