AMY

青の帰り道のAMYのレビュー・感想・評価

青の帰り道(2018年製作の映画)
2.9
扱っているテーマに共感した

誰にでもきっと、あの時は楽しかったなという戻れない輝かしい過去があると思う

それって現実を知らずに無邪気に楽しめた”青春”だからなのかな

大人になって、少し前の出来事を楽しかったなと振り返ることもあるけど、それとはまた違うのが青春な気がする


リョウのキャラクター自体には感情移入できなかったけど、リョウの視点って結構ポイント抑えてるなと思った

高校卒業して2年経った7人が東京に集まった時、上京して2年経って雰囲気が変わったキリに対して「染まっちゃったな」とリョウが言うシーン
明るく言ってるけど、自分と同じ世界にいた身近な人が違う世界に行って変わってしまうのって、なんか不安になるし、変われてない自分に焦りも生まれるんだよね

コウタとマリコは結婚、カナは芸能界デビュー、キリは東京で仕事を持ち、ユウキは東京で進学
「みんなは成功してるのに、変われてないのは俺らだけ」とリョウがタツオに言うシーンにも最近の若い世代の特徴が表れてるなと思った

インスタ映えがトレンドになって、高級レストランでの食事、ハイブランド品の投稿など、充実した生活が切り取られて載せられてるだけなのに、見る側はついそれがその人の全てなんだと思い、自分と比べたり、妬んだりする

実際映画の中でも、芸能界で成功しているように見えてもカナは自身の歌を歌わせてもらえないという不満を抱えていたり、キリも希望していたカナのサポート以外の業務に就かなきゃいけなかったり、ユウキは就活に悩んだりと
見えている/見せている姿だけがその全てじゃないと言うことがよくわかる

だけど、青春が終わる、高校卒業のタイミングとか大学卒業のタイミングとかって、理想と現実のギャップをまだ受け止めきれず、どうしても目の前に見える姿/世界が全てだと錯覚しちゃうんだよね

就活してた時がまさにそうだったからわかる

タツオもカナもそれに陥っていたから、もう目の前の世界でやっていけないと絶望して…だったけど
俯瞰してみたら、カナだって事務所を辞めたり、路上ライブで一から始めてみたりなどなど、他の道/世界はいっぱいある 

嫌だと思いながらも現状から離れられない、今あるものに縋ってしまうその気持ちも理解できるから、そう簡単にはいかないこともわかるけど

リョウが、どんなことがあっても死んだらそれで終わりなんだと言うシーンがあるけど
まさにその通り、絶望することもあるけど、目の前の世界だけが全てじゃない、それ以外に目を向けたら、息ができる場所があるのにね

でも本当に追い詰められてる時は、そういうことももう考えられないんだよね…

じゃあ、こんな辛い時期なければ良いじゃんと思うけど、これを乗り越えたからこそ、現実を知って、前に進めたりするものなんだよなと思う
だから辛いけどこの時期は必要だったんだなと振り返ると思う
AMY

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